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明日3日、いよいよグランドオープンへ!
世界文化遺産・富岡製糸場(富岡市)の敷地最奥部にある原料繭のかつての貯蔵庫で、国宝にも指定されている「西置繭所(にしおきまゆじょ)」が約6年に及ぶ大規模な保存整備工事を経て明日3日、いよいよグランドオープン! 当日は展示室の一般見学が可能になるほか、記念イベントも開催される。 (上原道子)
足掛け6年の工事で ガラス張りのホール&ギャラリー誕生
西置繭所は、1872(明治5)年築の木骨煉瓦造2階建てで、製糸場入口正面に建つ「東置繭所」、中心部にある「繰糸場」と並んで国宝に指定されている。
保存修理、耐震補強、活用を目的とした大規模工事は6年に及び、今年5月に完了。長さが約104mもある長大な建物の1階部分は、北側にシンポジウムや展示会、コンサートなど様々に活用できる「多目的ホール」を、南側に製糸場の収蔵資料を中心とした展示室「ギャラリー」を設置した。ホールとギャラリーは「ハウスインハウス」という手法を用いて整備。内部に補強用の鉄骨を利用したガラス張りの建物が設置され、建具や壁など操業当時のままの建物内部をガラス越しに見学できる。両方をつなぐ「ホワイエ」には製糸場の歴史を紹介する年表を掲示する。
約200人の収容が可能なホールではグランドオープンに先立つモデルイベントとして先月20日、高崎商科大学短期大学部ホテル・ブライダルコースの学生らによる「模擬ブライダル」が開催された=写真は同大提供。同イベントは地域活性や人材育成を目的に、同短大と地域、企業とが連携し毎年実施するもので、学生らはイベントを通し、新しいスタイルの挙式や披露宴の企画、運営のしかたに加え、地域の歴史や文化についても学ぶ。当日は受付で学生が官営期の工女を模した袴姿で対応したり、たすきの「赤」、繭の「白」、市内を流れる鏑川の「青」など、富岡を連想する色で会場を装飾したりした。
ギャラリーでは、製糸工程にかかわる道具、工女の暮らしにまつわる家具や作業服の変遷などを紹介。一方、2階の展示エリアは一続きになった横長の空間で、官営初期の繭の保存方法を再現している。展示資料はギャラリーと2階で約80点。
さらに、各自のスマートフォンなどで専用アプリをダウンロードし、所定の場所で端末をかざすと音声ガイダンスが聞ける仕組みも導入。展示資料や建物の特徴などの見所を人気声優の武内駿輔さんが案内する「メインガイド」と、2階の漆喰壁の落書きの痕跡やレンガ積みからイメージして制作された浪曲師・玉川太福さんの創作浪曲で案内する「スペシャルガイド」の2種類があり、音声とともに製糸場の歴史に触れることができる。同場の担当者は、「いよいよオープン。見学は1日9回、1回40分の予約制だが、感染症対策をしっかり行っているので、是非多くの方に新しく生まれ変わった西置繭所を見に来ていただけたら嬉しい」と呼びかける。見学希望者は予約センター(0274-67-0088)へ。
オープニングでは浪曲ガイドの実演(3日=要事前申込)や演劇(4日=同)、ライブペイント(3日、予約不要)などが開かれる。また、11日はオルガンコンサート(午後2時半、2000円、ピアノプラザ群馬=027-363-1262)、17・18日は映画「紅い襷」上映会(午後1時半、無料、先着50人)、31日~12月13日は世界遺産などをレゴブロックで表現した作品の展示(観覧有料)が行われる。いずれも、製糸場の入場料(一般1000円、大高生250円、小中学生150円)が別途必要。問い合わせは同製糸場総合案内所(0274-67-0075)へ。