コロナをきっかけに登場した多様なキッチンカーを、今まで活用されなかった空きスペースに導入する動きが出てきた。県内で出店するキッチンカーを取材した。
県財産有効活用課では、庁舎正面玄関左側の今まで利用が少なかったデッドスペースを新たに有効活用しようと、21日まで期間限定で、規格外野菜を使ったキッチンカーが出店する「県庁マルシェ」を行っている。ランチの時間帯に1、2台が出店(14、20、21日を除く)。カレーやサンドイッチ、ピザなどをテイクアウト弁当として販売する。同課担当者は、「低利用だった庁舎のニッチな空間を利用して、県産の規格外野菜も無人販売している。新たな価値創造をする社会的実験として、前橋工科大の学生や民間企業と一緒になって産官学連携で取り組んだ」と話した。
ビジネスホテル「東横イン桐生駅南口」(松田陽子支配人)でも、毎週月、木曜日を中心にキッチンカーによる飲食を提供している。月、木は、まぜそば専門店による定番から秋限定まで、様々なメニューが味わえる。また、今月16、24日はアジア料理店が出店予定。松田支配人は「地域貢献の一環としてキッチンカー事業を展開しています。出店者からは賃料も水道料もいただきません。お陰様で、お店の人と宿泊する人、一般の人、三方に喜んでもらえています」と笑顔で語る。
アースケア桐生が岡遊園地(桐生市)でも、土日祝に、桐生の飲食店組合と一緒になって、園の正門付近にキッチンカー1台を導入している。「来園者に気軽に利用してもらえる軽食メニューを提供している。実験的に取り組んでいるが、うまくいけば継続したい」と同園の宮前温子さんは話す。
前橋市にぎわい商業課は、昨年12月から、民間団体まきばプロジェクト(秋山麻紀代表)と連携しながら、市庁舎北入口付近などの公共空間で「キッチンカーランチ」事業を行っている。
キッチンカーで多国籍料理を提供する「南国料理ラブランカフェ」責任者の逸見千恵さん(36)は、「いままで市役所の売店に弁当を納入していたが、今年6月にキッチンカーを導入した。温かい料理を提供でき、お客さんに喜んでもらっている。待つだけではなく、移動して販売することに手ごたえを感じている」と話した。同課担当者の細井敦さんは、「公共空間の有効活用が進む中、今後もキッチンカー事業者を補助金などで支援をしながら、出店場所の調整も行っていきたい」と意気込む。