高崎市吉井郷土資料館 12月12日まで
日露戦争出征、ゴム園経営、猛獣狩り…
最後の吉井藩主の次男・吉井信照を紹介する企画展「吉井信照の生涯」が、高崎市吉井郷土資料館で開かれている。12月12日まで。
信照は1878(明治12)年生まれ。明治以降、子爵家であった吉井家は兄が継ぎ、信照自身は養祖父の遺産を継承して分家し平民となった。幼年時は学習院に在学し、大正天皇のご学友でもあったという。陸軍士官学校では銃の腕を磨き、卒業後に日露戦争に従軍した。アメリカで自動車産業が盛んになりタイヤの需要が増した明治末期には、マレー半島に渡りゴム園を開業。ゴム樹を害する野生の象や虎を退治した体験などは「馬来(マレー)半島に於ける余の猛獣狩」という本にもまとめた。
今展では、日露戦争の戦地での様子がわかる日記を初公開するほか、ゴム園経営時の猛獣狩りの様子がわかる貴重な写真や新聞記事、自筆原稿など約50点を展示し、彼のバラエティーに富んだ人生をたどる。同館学芸員の中嶋義明さんは「従軍日記からは日本軍の戦いぶりについて、軍事史研究者たちの見方が変わるのではないかと思われるような記述もあり、大変貴重です。信照が自ら撮影したリアルな写真とあわせてじっくりと見てほしい」と話す。日記は冊子として来館者に無料配布。入館無料。月曜休館。同館(027-387-5235)。