ぐんまで育てる多肉植物

コロナ下で さらなるブームに

種から育成した「エケベリア」や「サボテン」、「サダム」などのミニ多肉植物(サボテン相談室)

ぷっくりとした葉のサダム、ぴんと伸びたトゲがあるアガベ、バラの花を思わせるロゼット状のエケベリア、細かい毛が生えたクラッスラなど見た目がユニークな多肉植物。種類が多様な上、水やりの頻度が少なくて済み、ベランダや室内でも簡単に育てられるので、コロナ下で一層のブームになっている。

秋は多肉植物にとって、生育しやすい絶好の季節。今週は多肉植物に詳しく、精力的に情報発信する館林市のクリエーター羽兼直行さんに、多肉植物の魅力や育て方のコツを聞いた。そのほか県内最大の生産拠点である群馬サボテン団地(前橋)や、安中の植物園などを紹介する。(谷 桂、上原道子)

「サボテン相談室」羽兼直行さんに聞く

多肉植物とは

寄せ植えをした「エケベリア」、「サダム」、「クラッスラ」

多肉植物(サボテンを含む)とは、葉や茎に水分や養分を蓄えて生きる乾燥に強い植物の総称。原種は1万5千種類もあり、さらに、交配されてできた新種のハイブリッドが日々、誕生している。

コロナ&SNSでブームに

コロナ下でステイホームの時間が増え、世界的に園芸ブームが到来。中でも多肉は、室内やベランダの小さなスペースでも手軽に育成でき注目を集める。また、写真を公開し交流や情報交換するSNSの流行も手伝い、さらなる盛り上がりを見せている。

見た目ユニークで育てやすい

多肉植物の魅力は、「フォルムが多彩で個性的」「飽きずに眺められ、癒される」など、見た目のかわいらしさやユニークさにある。

また、頻繁な水やりが必要ないことから、現代人のライフスタイルにマッチしている植物とも言える。「多忙で一週間に一度だけしか世話ができない」「広い庭がない」「旅行など留守中の管理が難しい」と、植物を育てることを諦めていた人も、気軽に始められる園芸の一つだ。

原産地は様々

多肉植物の原産地は、世界中に分布している。例えば、様々な色や形が人気のエケベリアや、サボテンの仲間のアガベは南北アメリカ、多肉ユーフォルビアやアロエは、アフリカ。それぞれの多肉がどこのどのような気候で育った植物なのかを大まかに知っておくことは、育てる上でも役立つ。

群馬の夏が苦手

暑さが苦手な多肉植物。実は群馬の夏の気候は暑すぎるため、多肉にとってあまり良い環境とは言えない。だが、一年中暑い東南アジアや熱帯雨林地帯のアフリカにも多肉を育てるファンは多い。つまり、初めから適地でなくても、どう世話をすると上手く育つのかを工夫することが、園芸の楽しみや価値につながる。厳しい暑さをやりくりすれば、群馬でも十分、多肉ライフを満喫できる。

教えて! サボテン相談室が答える 多肉植物の育て方

購入
元気でしっかりしているもの、できれば、学名が付いているものを選ぶと良い。何の仲間で、どのような管理が必要か分かる。購入後はいきなりベランダに置くのではなく、直射日光を避け、朝だけ日の当たる場所などに置き、自宅の環境に慣らすことが大切。

水やり
多肉植物の栽培で、一番気を付けなくてはいけないのが、水やりだ。「水やりをやり過ぎた」「水やりをしなくていいと聞き、放置していたら枯れた」という経験がある人もいるのでは? 個体や環境によって育ち方は異なるが、基本的には鉢の土が乾いてから、次の水やりをするのがポイント。

増やす
多肉植物の魅力の1つは簡単に増やせること。赤玉土や腐葉土を混ぜた用土の上に、葉を1枚置くだけで、小さな芽が出て増える。このほか、挿し木や株分け、接ぎ木、実生(種まき)など様々な増やし方がある。増えた株を寄せ植えに使うこともできる。

「サボテン相談室」代表 羽兼直行さん
カクタスクリエーターとして、「エケベリア」などの新しい交配種を手掛ける。10歳のころから、サボテンや多肉の栽培を始める。「父親が趣味でバラを育てていた庭の隅に、サボテンが転がっているのをもらい受けて育てたところ、きれいな花を咲かせた」。それ以来、多肉の魅力に取りつかれる。日大芸術学部卒、CMディレクターとしてテレビや広告業界に携わり、50歳から「多肉にスイッチ」し、60年以上多肉の魅力を提案している。YouTubeなどで情報発信する他、著書多数。

■「サボテン相談室」
館林市千代田町4-23
☎0276-75‐1120
http://sabotensoudan.jp/
YouTube(https://youtu.be/hXyTSHA24Bw
インスタグラム @sabotensoudanshitsu

■群馬サボテン団地

前橋市(東大室町1025‐2)には、市内の農家4軒が集まってハウスでサボテンや多肉植物を専門に栽培する園芸団地「群馬サボテン団地」(山田伊勢次組合長)がある。敷地面積は約1万5千平方㍍。全国へ年間約60万鉢を出荷する多肉植物の一大産地だ。小売りできる商品もあるので購入の際は現地の各農家へ相談を。

■松井田多肉植物園

安中市の「松井田多肉植物園」(松井田町松井田761‐3)では、大小8棟のハウス内外で1千種類以上のサボテンや多肉植物を育成し販売。1ポット100円~。希望すればその場で寄せ植え可。園主の深尾和義さん(75)は「オープンガーデンのように眺めて楽しむだけでも良いので気軽に遊びに来て」と話す。入場無料、午前10時~午後4時(夏季は同5時)。事前に電話連絡を。同園(027・393・3962

■群馬カクタスクラブ
県内外の多肉植物愛好家が作る趣味の会「群馬カクタスクラブ」(倉林輝生会長)では毎年、3・9月に各1回、5月に2回、計4回、県内で即売会を開催している。同クラブインスタグラム(@gunmacactus)で情報発信中

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