シイタケ、エノキタケ、マイタケ-鍋料理など冬のあったかメニューに欠かせないキノコ。うまみだけでなく、ヘルシーかつ、免疫力アップが期待される成分も豊富に含まれているといわれています。今週は、生産量が全国でも上位の「キノコ王国」群馬で栽培されている様々なキノコに加え、本や映画やキットなどキノコにまつわる様々な話題を紹介します。
生産量シイタケは全国4位、マイタケ・ナメコは6位
「キノコ」と一口に言っても様々な種類がある。県林業振興課によると2020(令和2)年次、県内では、シイタケ(生シイタケの原木栽培と菌床栽培、乾シイタケ)の生産が最も多く約4226㌧。次いで、マイタケ、ナメコ、エノキタケ、ブナシメジ、ヒラタケ、エリンギと続き、その他の品目としてウスヒラタケ、タモギタケ、ハナビラタケなど多様なキノコが生産されている。
●県内主要3品目生産量ランキング
生シイタケ
キノコの中でも最も生産量が多い生シイタケは、菌床と原木の2種類の栽培方法がある。群馬ではもともと原木が主流だったが、平成に入ってから菌床栽培がさかんになり、現在は全体の9割近くが菌床。コレステロール値を低下させる働きがあるとされる特有成分「エリタデニン」を多く含む。ひだを上に向け日光に当てるとビタミンDの含有量がアップ。冷凍保存も可能。シイタケ本来のおいしさを味わうならシンプルに網焼きがオススメ。傘をひっくり返し網焼きにし、ひだにうまみエキスがしみだして来たらしょうゆを垂らして。
マイタケ
高級きのこの代表格。独特の味、香りや食感が特徴。名前の由来には諸説あり。免疫細胞の働きを活発化させる「β-グルカン」を多く含む。冷凍保存も可能。乾燥させて常温保存すると香りも増す。天ぷらや炊き込みご飯が定番だが、油で炒めて溶かしたピザ用チーズの上にマイタケをのせてカリッと焼いてもgood!酒の肴やアウトドアにもぴったり。
ナメコ
「なめたけ」とも呼ばれ、もとはブナの木などに群生している。独特のぬめりがあり、つるっと口当たりが良く、抗酸化作用にも優れている。様々な料理に合い、歯ごたえと食感を楽しめる。県では、1980年頃に、広葉樹のオガクズとフスマなどを混ぜた菌床栽培が普及し、安定供給されるようになった。2020年度の生産量は990㌧、生産量全国順位は6位と上位に食い込む。県内の9割は高崎市で生産されている。
これからの寒いシーズンには、みそ汁や汁物に欠かせない。パック入りのものは、袋が膨張していないものが新鮮。冷凍も可能だが、傷みやすいために早めに食べたい。
円グラフ:2020年の市町村別生産量(県林業振興課調べ )※注 生産量:小数点以下第1位を四捨五入
参考文献:林野庁情報誌「林野-RINYA-」令和2年11月号
ヒラタケ
ぜひ、アヒージョをお試しあれ!
しめじに似ているが、傘が灰色でひらべったい。軸は短く重なり合って株を作る。菌床栽培が多いが、県内ではあまり市場に出回らない。高血圧予防に良いとされるカリウムや、造血作用のある葉酸、血液の流れをよくするナイアシンなどを含み、貧血や冷え性予防も期待される。歯ごたえが良いので、アヒージョなどで食感を楽しんで。
エノキタケ
炒め物や鍋物、煮物など万能選手
全国的な順位は18位だが県内では三大キノコに次いで生産量が多い(R2年度263㌧)。特徴はシャキシャキとした歯ごたえと、煮るととろりとした食感になるところ。炒め物、鍋物、煮物、和え物、揚げ物、パスタ、汁物など何にでも合う。ダイエットサプリに使用される「キノコキトサン」を多く含む。
〈群馬アスパラ〉に聞きました
澄んだ空気とおいしい水のある豊かな自然環境の中、天然資源を有効利用した竹チップの菌床培地で「つまごいえのき」を栽培している。食の駅前橋店ほかで販売中
■吾妻郡嬬恋村干俣263 ■℡0279-96-0132
■http://tsumagoi-kinoko.com/company/
谷川茸
軸を輪切りにしてソテーがおすすめ!
「谷川茸」は、パイリングとエリンギを掛け合わせた玉白茸(タマシロノタケ)という品種を月夜野きのこ園で「谷川茸」と改名して栽培している。全国で数カ所しか取り扱いがない。「芽かき」作業が頻繁に必要で、生育に手が掛かり、1つの菌床で1本しか収穫できないが、ずっしりしていて、味は絶品。少し甘さのある濃い味わいだ。
雪割茸
ベーコンと炒めたり、ペペロンチーノはいかが?
「雪割茸」は全長25㎝と長いのが特徴で、市場にはあまり出回らない希少なキノコ。見かけはエノキタケと似ているが、密度があってコリコリした歯ごたえがあり、風味が良く一度食べたら忘れられない味わい。月夜野きのこ園では2010年から栽培開始。最初は10㌢くらいだったが、研究栽培し、現在の長さに。鍋やパスタで多様に味わえる。日持ちがしないのでお早めに。
〈月夜野きのこ園〉に聞きました
おいしいキノコで食卓に感動を届けたいとこだわりのシイタケや希少な品種のきのこを栽培から販売まで手掛けている。菌床の原材料には、国産のナラや広葉樹を使ったオガを使用。自社内に研究所を設置して取り組む。通販や道の駅「みなかみ水紀行館」や「川場田園プラザ」などでも販売するが、問い合わせを。
■みなかみ町後閑1170 ■℡0278-62-1673
■http://www.tsukiyono.co.jp
キクラゲ
軽くさっとゆでて、わさび醤油でお刺身に
プリプリ、シコシコした食感が楽しめる中華料理でおなじみの「キクラゲ」。白い粉のような胞子が見えることもある。桐生きのこ園では、温度と湿度を管理し、菌床栽培で生産している。食物繊維や鉄分などミネラルも豊富。植物性コラーゲンがたっぷり取れる。美容や健康を気にする人にも気を使う人にもぜひおすすめしたい。
アワビ茸
割いてバターで炒め、酒をふりかけチャーハンで
桐生きのこ園のアワビ茸は、傘が白っぽく、魚介のような香りがほんのりして、歯ごたえのある食感がまるでアワビを思わせる。鍋や汁物にするとおいしいダシが出る。手で割くと味がしみこみやすい。和洋中どんな料理にも合う。店頭で、見かけたらぜひ味わってみて。
〈桐生きのこ園〉に聞きました
桐生川の伏流水を井戸で汲み上げて利用し、キノコを栽培・販売している。菌床には、日本産落葉広葉樹やオガ粉、小ぬかを使用。温度と湿度を調整して食感や味の良いキノコを作っている。肉厚で大きいシイタケ「ふくふく」も絶品
■桐生市浜松町2-6-23 ■℡0277-46-3089 ■午前11~午後4時定休
■https://kiryu-kinokoen.com/
🍄キノコを知る
食育にもおすすめ
絵本「きのこのこのこ ふしぎのこ」
きのこ写真家として活躍する新井文彦さん(富岡)らの写真を多数掲載する絵本「きのこのこのこ ふしぎのこ」がひさかたチャイルドから出版された。同社の「しぜんにタッチ!」シリーズ最新刊。食卓に並ぶキノコから、綺麗なキノコ、不思議な形のキノコ、毒キノコまで34種類が写真で紹介され、自然界の多様性が感じられる絵本。食育にもおすすめ。新井さんはウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で「きのこの話」の連載なども手掛けている。
写真:新井文彦、六田晴洋、大江友亮ほか。監修:白水 貴(菌類研究者)。21×24cm。28㌻。出版:ひさかたチャイルド(https://www.hisakata.co.jp/)。定価1430円。
🍄キノコを観る
怪しくも美しい驚異のきのこワールド
映画「素晴らしき、きのこの世界」
シネマテークたかさき 10日まで
全米で大ヒットした“きのこ”のドキュメンタリー映画「素晴らしき、きのこの世界」がシネマテークたかさきで10日まで上映されている。病気の治療や環境汚染の浄化など、地球上の様々な問題に役立つきのこの秘められた可能性に迫る。タイムラプス映像のパイオニア、ルイ・シュワルツバーグ監督の美しい映像と、研究者たちの熱のこもった「きのこ愛」は必見。キノコの企画展を開催する市内のドードーカフェとのタイアップ企画も。一般1800円ほか。シネマテークたかさき(027-325-1744)。
2019年 アメリカ 1時間21分 監督:ルイ・シュワルツバーグ ナレーション:ブリー・ラーソン
🍄キノコを育てる
おうちで栽培しよう!
キット大人気 森産業
キノコの種菌メーカー「森産業」(桐生市西久方町)が販売するキノコ栽培キット「もりのきのこ農園」シリーズが人気だ。シイタケ、ナメコ、エリンギ、ブナシメジ、ヒラタケ、エノキタケ、キクラゲ(※夏・秋限定)の7種類。キットに入っている菌床と水だけで発生から収穫までを簡単に楽しく体験でき、育てたきのこは調理をして食べることもできる。県内のホームセンターや種苗店、通販サイト(https://www.rakuten.ne.jp/gold/drmori1/)で販売中(通販サイトでは税込1500円)。
森産業沼田事業所(0278-22-1455)。
🍄キノコを食べる
県きのこ料理コンクールあんかけ料理が最優秀に 渋川青翠高・金子さん
県産キノコを用いたオリジナル料理のレシピを審査する第22回県きのこ料理コンクールの審査が先月行われ、県立渋川青翠高校3年の金子綺良さんによる「歯応え抜群!まるごと玉ねぎの肉キノコあんかけ」が最優秀賞(群馬県知事賞)に選ばれた。刻んだ玉ネギ、エリンギ、エノキタケとひき肉を混ぜたものを、くりぬいた玉ネギの中に詰めて煮込み、最後にブナシメジを使ったあんをかけた。県が、県産キノコを広くPRし消費拡大につなげようと毎年実施。県林業振興課HP(https://www.pref.gunma.jp/06/e3600248.html )で公開中。なお、県は来年2月1、2日、キノコの品評会を開催し、展示や一般販売、などを行う。同課(027-226-3234)。
そば処くぼ田(みなかみ)イチオシの「三色きのこそば」
水上駅前に店を構えて五十余年の「そば処くぼ田」。三代目店主・久保渉さんが美味しい水、厳選した蕎麦粉とつなぎの米粉で打つ「二八そば」が絶品だ。一番人気の「三色きのこそば」(税込1100円)は、マイタケの天ぷらとナメコとシメジ、山菜が贅沢に入っている。マイタケは「鈴木まいたけ園」(同町)がじっくり手間隙をかけて作ったみなかみ産「すくよか」を使用。豊かで甘い香りとサクサクとした食感が楽しめる。他に「すくよか舞茸の天もりそば」(同1080円)など。
《そば処くぼ田》
■みなかみ町鹿野沢70-15 ℡0278‐72‐6420 午前10時~午後3時 木曜定休