高崎が発祥?!豚ホルモンの誕生描く まち映画「泣いて笑って豚ホルモン」

今夏公開 高崎や下仁田でロケ終了

高崎発祥とされる豚ホルモン焼きをテーマとしたまち映画「泣いて笑って豚ホルモン~LEGEND OF HORUMON IN GUNMA~」が今春、同市内や下仁田町で全てのロケを終えた。メガホンを取った藤橋誠監督(46)は、「今作で描いているのは家族愛や地元愛。豚ホルモン焼きを通して、希薄になりつつある地域の支え合いや人々の助け合いを伝えられたら」と笑顔で語った。公開は今夏を予定している。

本作は、「高崎にルーツを持つ豚ホルモンの魅力を県内外にアピールしたい」と、食肉関連企業などが製作委員会を組織して企画した。映画は昭和30年代の高崎が舞台。現在の金華亭食品(同市)創業者の故・井上光敏さんが当時売り物にならなかった豚の臓物に味付けし、営んでいた焼肉店で提供したのがきっかけで広まったという実話を基にしている。エグゼクティブプロデューサーを務めるのは食肉加工や飲食店を手掛けるオルビス(同市)の大熊章之社長(60)、原作者は製作プロデューサーで下仁田放送の十川貴浩社長(50)、出演者はオーディションで選ばれた県内在住者ら25人だ。

主人公のグルメ雑誌記者が昭和30年代の高崎にタイムスリップし、井上さんが販売を始めた安くて美味しい豚ホルモン焼きのルーツをたどりながら、当時の暮らしや人情、地域の魅力などに触れるストーリーになっている。

金華亭創業者・故井上さんを演じる千さん

撮影は昨年12月から約4カ月にわたり行われた。最後のロケ地、下仁田の坂口屋旅館では主演の秋山紗良さん(16)や井上さん役の千容植さん(49)さん、井上さんの娘役の斎藤空愛さん(10)らが出演し、豚ホルモン焼きが誕生する重要シーンなどを撮影。秋山さんは、「初めての演技は難しかったけど、監督さんや出演者の方と話し合いながら役のイメージを広げていきました。撮影は楽しくてあっという間でしたね」とニッコリ。県内で「千味庭」など様々な飲食店を経営する千さんは、「情に厚いところや食に対するこだわりなど共感できる部分が多く、役に入り込みやすかったです。映画に込められた『相身互い(あいみたがい)』の精神に触れ、温かい気持ちになってもらえたら嬉しい」と充実した表情を見せた。井上さんの孫で金華亭食品の中田和宏社長(51)は、「祖父の記憶は朧気(おぼろげ)でしたが、映画を通して地域や家族、豚ホルモンに対する愛情の深さを改めて感じることができました。関係者の皆さんには感謝しかありません」と語った。

作品は70分。6月下旬に試写会、7月下旬に公開予定。なお、先月末から原作のデジタル書籍をインターネット上で無料配布中だ。十川プロデューサーは「高崎の豚ホルモン誕生物語を一人でも多くの人に知って欲しい。映画との違いもお楽しみください」と語った。 (中島美江子)

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