富岡・県立自然史博物館 6月12日まで
2000年に安中市原市で発見された鳥の化石が、4月に新属新種と判明したことを受け、県立自然史博物館(富岡市)は「アンナカキグナ・ハジメイ」の実物骨格化石や復元全身骨格(レプリカ)などを緊急展示している。6月12日まで。
化石は、安中在住のアマチュア収集家・中島一さんが碓氷川河床(約1150万年前の地層)から発見。羽が小さく、一見してハクチョウの仲間とみられたため「アンナカコバネハクチョウ」という通称で呼ばれていた。その後、同館と京都大の松岡廣繁助教との約20年間にわたる共同研究の結果、既知のハクチョウの仲間とは異なる新属新種と判明。発見地・発見者にちなみ、「アンナカキグナ・ハジメイ」という正式な学名が付けられた。
翼が小さく「飛べないハクチョウの仲間」である一方、翼の骨格がヒナを背中におんぶするような形に進化しているのが特徴。また、あごの骨が皿のように湾曲していることから、飲んだ水から餌のプランクトンを濾(こ)しとる「濾過(ろか)食」に適応していたとみられる。緊急展示ではアンナカキグナ・ハジメイの特徴が良く分かる頭骨や翼の骨の実物化石や復元骨格などに加え、1995年頃に旧吉井町で発見され、この属の別種(新種)と確認された大型種「アンナカキグナ・ヨシイエンシス」の紹介もしている。
同館によると、発見は当時、群馬周辺に存在した海洋の豊かな生産性が背景にあるとし、同館学芸員の髙桒祐司さん(53)は「このような特異な鳥類は世界初の発見。同属の大型種も確認されており、同時期・同地域にユニークな鳥類が放散していた証拠だと言える。この鳥類の進化が良く分かる貴重な資料を展示してありますので、間近で見て当時、この地域に生息していた鳥たちに思いを馳せてもらえたら」と話す。展示の見学は事前予約が必要。予約はホームページ(http://www.gmnh.pref.gunma.jp/)。同館(0274-60-1200)へ。