ぐんまの話題のサウナ

心と体をリセット

健康にも良いとされるサウナ。ここ数年、全国的にブームが巻き起こっている。サウナ愛好家を「サウナー」、サウナ入浴後に快感を得ることを「ととのう」と言うなど、サウナ関連の新しい言葉も聞かれるようになった。県内でもサウナを取り入れる施設が続々と誕生。今週は、宿泊とともに楽しめるホテル、熱波師のいる日帰り入浴施設、こだわりの専門店など、群馬の人気サウナを紹介する。サウナ好きも初めての人も、この機会に体験し、猛暑で疲れた体をリセットしてみては?
※サウナに入ることを「入浴」と表現しています。

そもそもサウナとは?
乾燥した高温の部屋でじっと座って汗をかく、というイメージのある「サウナ」。フィンランド語の「sauna」から来ており、約2千年前、白夜の国フィンランドの民族が、太陽の恩恵の少ない風土の中で厳しい寒さと労働の疲れをいやすために生み出した「自然健康法」だ。ヨーロッパやロシアなどにも受け継がれてゆき、日本には昭和の東京五輪をきっかけに広く知られるようになった。

日本では高温(80~100度)のドライサウナが主流だが、近年は「フィンランド式」と呼ばれる方式が人気を呼んでおり、ヒーターに積まれた高温の石に水をかけ蒸気を発生させる「ロウリュ」や、「熱波師」と呼ばれるスタッフがタオルで蒸気を仰ぐ「アウフグース」を取り入れる施設も増加している。

ブームについて日本サウナ・スパ協会の若林幹夫事務局長は「東京五輪を機に広まった第一次、90年代の健康ランドブームとともに発展した第二次に続き、今は第三次ブームと言われています。サウナマンガやそれを原作としたテレビドラマ放送、さらにSNSによる発信が増えたことなどが要因と考えられます。また、今年7月にはアウフグース日本代表を選出する大会も初めて(アジアでも初)開かれ、さらに注目が集まっています」と話す。

サウナに入った後、水風呂、外気浴を繰り返すことでリラックスする=みなかみ町のMOOSKA DE STUBEN

サウナブームのきっかけの一つになったマンガ
「マンガ サ道(さどう)~マンガで読むサウナ道(さうなどう)~①」(タナカカツキ著・講談社)
サウナが苦手だった主人公の「私」は、「本当」の気持ち良さを偶然知ってしまった“運命の一日”を境に、すっかりサウナ中毒に。通い詰めるうち、確実に気持ち良くなれるサウナの入り方があることに気づく。サウナの入門書としても人気がある。現在「第6巻」が最新刊。

愛好者が急増中 フィンランド式サウナ

サウナストーブで温めた部屋でサウナを楽しむ=前橋市の毎日サウナ

〈入り方の基本〉
①シャワーを浴びて全身を洗い、良く拭いてからサウナ室へ
②サウナ室ではリラックス
③ロウリュの設備がある場合は、石に水をかけて楽しむ。水にアロマを含ませてある施設も
④8~12分くらいを目安に入浴(個人差があるので、初心者や健康に自信のない人は短めに)
⑤サウナ室を出たら、冷水シャワーを浴びる、または、汗を流してから水風呂に入る。足元から徐々に慣らしながら。気持ちよく体が冷える程度で約1、2分(個人差あり)
⑥水風呂から出たら体をふく
⑦ ②~⑥を2、3回繰り返す
⑥最後は、外気浴で休養。湯冷めをしない程度(30分くらいが目安)に、水分補給をしながらサウナチェアなどでゆっくり過ごす

〈効果〉
サウナに入ると血流が増し、新陳代謝も活発になり、乳酸などの疲労物質が汗とともに体外に排出される。そのため、肉体疲労の回復や肩こり・筋肉痛の緩和には即効性があるという。また、サウナと水風呂の交代浴では、冷え性や血圧(高血圧は低下、低血圧は上昇)の改善、美肌などの効果が期待される。

また、低温サウナ(60~70度)にゆっくり入ると、神経を鎮め緊張を解く作用が働くため、ストレス解消や快眠の効果があるとされる。

香りのよい、白樺の枝葉を束ねた「ヴィヒタ」はフィンランド式サウナの象徴。滅菌作用があり、叩くことで体を清浄したり肌に潤いを与える。叩くことで血流を促す効果も

〈気を付けよう! こんな人、こんな時〉
①高血圧の人の長時間の高温浴
②生活習慣病のある人の温冷交代浴
③極度の疲労、発熱、飲酒、泥酔状態でのサウナ入浴
④サウナ入浴中に異常を感じた時の利用
⑤食べた直後や満腹時の利用

参考文献:公益社団法人 日本サウナ・スパ協会認定資格「サウナ・スパ健康アドバイザー」公式テキスト(「知っておきたいサウナ・スパの健康知識」)

白井屋ホテル 前橋
世界でも稀! 寝転んで楽しむ
宿泊者限定「ベッドルームサウナ」

ダブルベッドサイズのサウナ台が存在感を示すサウナ室はまるで客室のよう

ベッドに横になってサウナを楽しめる、世界でも珍しい「ベッドルームサウナ」が7月、前橋の白井屋ホテルに誕生した。手掛けたのは、サウナ業界で著名な「ととのえ親方」こと松尾大さんと、「サウナ師匠」こと秋山大輔さんによるサウナー専門ブランド「TTNE」。客室にサウナを付けるのではなく、ベッドルーム自体をサウナにしてしまおうという発想で、プロデュースした。

ベッドルームサウナの小屋をバックにほほ笑む、ととのえ親方(左)とサウナ師匠
ベッドサイドの花瓶にアロマ水を注ぐサウナ師匠

宿泊者限定で利用できる同サウナは、ホテルを象徴する緑の丘に建つ白い小屋「37号室」の中に導入。小屋の内部は約80度のサウナ室、15度の水が出るシャワー室、休憩室に分かれる。サウナ室中央には、高温多湿に強い木材(アバチ材)で作られたダブルベッドサイズのサウナ台が設置されている。壁床天井も同じ材質でできており、シンプルで落ち着いた雰囲気をかもし出している。最大2人まで利用可能だが、1人なら寝返りも打てるほどの広さだ。ベッドサイドの花瓶にアロマ水を作って注ぐと、ヘッドボード裏に格納されたサウナストーブから蒸気が広がり、香りが楽しめる仕組みになっていて、ロウリュの醍醐味が寝転んで満喫できる。秋山さんは「スマホで好きな音楽でも聴きながら自由な時間を過ごしてほしい」と提案。一方、松尾さんは「群馬には温泉だけでなく面白いサウナもあることを知ってほしい。サウナに入りに群馬に来てくれる人が増えるといいですね」と期待する。

ベッドルームサウナの利用は宿泊者限定で、通常は宿泊料金のほかに1人5000円の利用料が必要だが、9月30日までは無料で利用できる特別宿泊プランを実施中。素泊まりプラン(スーペリアルルーム2名1室利用)は1人16500円、2食付きプラン(同)は34650円。要予約。

なお、同ホテルにはベッドルームサウナのほか、日帰り利用が可能な「フィンランド式サウナ」と「ミストサウナ」(各5000円、1ドリンク付き、要予約)も。

アロマは3種類用意されている

ベッドルームサウナの利用は宿泊者限定で、通常は宿泊料金のほかに1人5000円の利用料が必要だが、9月30日までは無料で利用できる特別宿泊プランを実施中。素泊まりプラン(スーペリアルルーム2名1室利用)は1人16500円、2食付きプラン(同)は34650円。要予約。
なお、同ホテルにはベッドルームサウナのほか、日帰り利用が可能な「フィンランド式サウナ」と「ミストサウナ」(各5000円、要予約)も。

■前橋市本町2-2-5 TEL :  027-231-4618
HP: https://www.shiroiya.com/facility

毎日サウナ 前橋
サウナ好きが作った県内初の専門店
「群馬にもサウナの文化を!」

薪ストーブと、その両サイドに座面が階段状に作られたサウナ室。定員20人

群馬初のサウナ専門店が、今年3月30日に前橋市荒牧町にオープンした。その名も「毎日サウナ」。石川県金沢市出身の若林優貴代表(28)は、8年前にサウナの魅力にはまり、「毎日通いたくなるようなサウナを作りたい」「温泉が有名な群馬にも、お風呂だけでなくサウナの文化を」と出店地を群馬に決め、チャレンジを決意。昨年12月にクラウドファンディングで資金を募った。高崎の日帰り温泉施設「京ヶ島天然温泉湯都里」で運営のノウハウを学んだのち今春、夢を実現させた。男性専用のサウナ専門店だが、月に2回(第2・4月曜)は女性限定の「レディースデー」を実施する。

同店のこだわりは「薪サウナ」。薪をくべる音を聞いたり、燃えている火を見ることでリラックスできるという。また、体の芯まで温まってもらいたいと、サウナ室の温度をやや高めの90~100度に。ほかにも、座面は、あぐらをかいてもゆったりと座れるよう広めに設計したり、セルフロウリュや、スタッフによる1時間ごとのアウフグースサービスも導入する。また、温度が15~17度の水風呂は、深さ1メートルもある広いヒノキ風呂と、温度が10℃以下の一人用のヒノキの桶風呂を用意するなど、利用者に満喫してもらための工夫が満載だ。

休憩スペース
四角く大きなヒノキ風呂(左)と、一人用の丸い桶風呂の2種類が楽しめる
休憩スペースのドリンク(麦茶・ほうじ茶・デトックスウォーター)は無料で提供

窓から心地よい外気が入ってくる休憩スペースでには、ととのい椅子とチェアベッドを合わせて16基が並ぶ。若林さんは「型にとらわれず、自分に合ったサウナの楽しみ方を見つけるのが1番。気軽に体験しに来て」と呼びかける。

60分1000円、90分1300円、120分1600円、以降、30分延長につき300円。貸出タオルセット(フェイスタオル、バスタオル各1枚)300円。平日限定の貸切サービスも実施中(要予約、正午~午後2時半、22000円、20人まで、アウフグース付き)。

■前橋市荒牧町2-33-5 TEL : 0278-88-6616
営業時間:平日 午後3~午前0時(予約不要) 土日祝日 正午~午前0時 定休日:月曜(祝日を除く)
HP: https://everyday-sauna.com/

MOOSKA DE STUBEN みなかみ
大自然の中
絶景サウナを貸切で

晴れた日には、谷川岳を臨める絶景スポットにある。サウナ体験からダイニングまでが一体となっている

谷川岳を望むアウトドアサウナとバーベキューダイニングができる1日1組限定の貸切施設「MOOSKA DE STUBEN」(ムースカドストゥーベン)が、7月みなかみ町に誕生した。大自然の中で、仲間や家族と本格的なサウナを楽しむことができる新たな体験の場だ。

運営に当たるのは、みなかみや高崎などで行政と連携しながらリモートワークを通して働き方改革や子育て期の労働支援などを進める一般社団法人コトハバ(高崎市、都丸一昭代表)。コロナ禍で非対面のコミュニケーションが広がる中、「東京から新幹線で約1時間のみなかみで、アウトドアサウナや絶景の水風呂、開放的な外気浴など一連の心地良さを大切な仲間と分かち合い、自然回帰できる場所をつくった」と同施設はコンセプトを説明する。

フィンランドの老舗HARVIA社のサウナストーブを設置した室内は、天井が緩やかなアール型で設計され、熱が回りやすい対流湿式。蒸気(ロウリュ)が室内を時間をかけて巡るようになっているため、「呼吸しやすく、対話しやすい」と評判を呼んでいる。瞬間冷凍された新鮮なシラカバ束、ヴィヒタを使ったウィスキングというリラクゼーションも可能(追加料金)。

座る場所によって温度が異なるサウナ室。その場の気分により、快適な位置に座ることができる

 

ロウリュ(水蒸気)の道を阻害しない形で積載しているサウナストーン。スタッフが水をかけるほか、自分で蒸気を発生させることもできる

サウナの隣りにあるのが利根川源流域のかけ流し水風呂。雄大な景色を眺めながらウッドチェアで外気浴を満喫し、隣接するテントで宿泊できる。定員はキャンプ泊プランは6人まで、コテージ泊プランは10人まで。基本料金は、23100円/1人(1日1組貸切につき、1~4人で利用の場合でも、大人4人分の料金。子供に付いても同様)。コテージ泊はプラス7700円/1人。詳しくはHP参照。

■みなかみ町上牧2216-1 TEL : 080-3274-0991
HP: https://mooska.jp
Instagram:@mooska_de_stuben

京ヶ島天然温泉 湯都里 高崎
熱い風を運ぶ熱波師の
アウフグース見もの

シアターサウナも好評。サウナ、水風呂、外気浴を繰り返す「温冷交代浴」を行うことで、交感神経が優位に立っている緊張状態から、副交感神経が優位に立つリラックス状態になり、いわゆる「ととのう」いうディープトリップ状態になる

源泉かけ流し露天風呂が人気の大型日帰り温泉「京ヶ島天然温泉 湯都里」(高崎市島野町)。岩風呂や室内風呂だけでなく、各種サウナも設置。さらに岩盤浴室では、毎日、「熱波イベント」を行うなどサウナに力を入れる。

同温泉には、男女の浴室にそれぞれ高温乾式の「シアターサウナ」と中温乾式の「塩サウナ」、スチーム方式の「アロマサウナ」の3種類のサウナがある。不定期だが、男子シアターサウナでは、熱波師による「漢ロウリュウ熱波」というサウナイベントも行う(HP確認)。

2階の岩盤浴室にある高熱炉で焼かれたサウナストーン

サウナ室以外にも、岩盤浴室(2階・男女共用)で、「アロマロウリュウ」という熱波イベントを毎日開催。日本サウナ熱波アウフグース協会認定の熱波師が、「本気の熱波」を行い熱い風を届けている(平日の午後4時~、休日の午後3時~、同7時~)。「アロマロウリュウ」とは、岩盤浴室内に設置された高熱炉で焼かれたサウナストーンにアロマ水をかけ、じゅわ~と室内に大量の蒸気と熱気を発生させること。立ち上った熱波をタオルで仰ぐアウフグースも体験したい。副支配人で熱波師の関勝三副支配人は、「今後は著名なプロの熱波師や専門のアウフギーサーをお呼びして熱波イベントも計画中です。ぜひ、チェックしてください」と話す。

岩盤浴室では、アロマ水をストーンにかけて、蒸気を攪拌する
一人一人をタオルであおぐ「熱波サービス」も行う

■高崎市島野町890-3 TEL : 027-350-8811
HP: https://www.yu-tori.jp/

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