実力と才能を兼ね備えた2選手の補強と、
コーチングスタッフ陣の充実で、強豪クラブへの第一歩を踏み出す
B1リーグ2シーズン目を迎えるサンダーズ。昨季は25勝30敗と、B1昇格1年目のチームとして最高勝率を更新したものの、目標にしていたチャンピオンシップ進出は叶わなかった。この反省を生かし、今季(10月1日スタート)はサンダーズのバスケットボール文化を作ることを最優先に、選手だけでなくコーチングスタッフの補強にも力を入れた。サンダーズが強豪クラブになるために不可欠だ。(星野志保)
今季は、ヘッドコーチ(HC)にアルバルク東京のトップアシスタントコーチ(トップAC)だった水野宏太氏を招聘。水野HCは、アメリカのウェストバージニア大学を卒業後、2008-13シーズンまでリンク栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)のアシスタントコーチを務め、2009-10シーズンにチームの優勝に貢献。2015-18シーズンまでレバンガ北海道のHCを務め、NBL時代の2015-16シーズンにクラブ初のプレーオフに導いた。2018-22シーズンまでA東京でトップACを務め、ルカ・パヴィチェヴィッチHCの下、チームの2連覇(2017-19シーズン)に尽力。2009-11シーズンには男子日本代表ACを務めるなど、コーチ経験が豊富な40歳の若手指揮官だ。
今季、チームが取り組むのは、サンダーズのバスケ文化を作り上げること。吉田真太郎ゼネラルマネージャー(GM)は、「チームの決まりごとを作ってそれを徹底する。練習を100%しっかりやる。当たり前のことを当たり前にできるようにするシーズン」と語る。水野HCも「まず準備する文化。日々、向上するために自分たち一人ひとりがどうしていくのかをしっかり考えて、練習でも試合でも準備していく文化。コミュニケーションをしっかり取っていく文化を作っていく」と語り、強豪チームになるための土台作りの1年にすると力を込めた。
水野HCを招聘した理由について吉田GMは、「本当の意味で強豪クラブになっていくため、若くエネルギーがある彼のようなタイプが、これからサンダーズにはには必要」と明かし、栃木、北海道といった地方クラブを率いた経験も評価した。
ACには、NBAのサントアントニオ・スパーズやNBAディベロップメント・リーグのフロリダ・フレイムなどでプレーし、昨季までサンロッカーズ渋谷のACなど多くのプロバスケットチームで活躍していたカイル・ベイリー氏を就任させた。「水野HCの戦術・戦略を、現場に落とし込める」(吉田GM)と、選手とHCの橋渡し役を担う。
昨季は、けが人続出となったことから、クラブはストレングス&コンディショニングコーチを置くことを決め、ラグビー界で活躍してきた和田洋明氏を招いた。
選手については、バスケットボール界のファンタジスタとの異名をとり、昨季、琉球ゴールデンキングスの準優勝に貢献した並里成と、イタリアのオリンピア・ミラノに所属し、ヨーロッパ最高峰のユーロリーグで6年間プレーしたケイレブ・ターズースキーの2選手を補強。
並里は、スラムダンク奨学金第1回奨学生で、リンク栃木と沖縄で優勝経験を持つ。ポイントガード(PG)として、ゲームのコントロールや攻撃の起点になるだけでなく、得点力があり、アシストもできる選手である。
ターズースキーは、213㎝の長身と強靭な体格でゴール下を制圧するだけでなく、走力もあり、「Bリーグ全体に大きなインパクトを与えてくれる選手」と吉田GMは期待する。
「我々は、この2シーズン(2020―22)で一気にクラブを成長させました。そろそろしっかりサンダーズの文化を作って、強豪クラブに持って行く段階なのかなと思いました」(吉田GM)と、今季の補強に力を入れた。
サンダーズは、10月1日太田市運動公園市民体育館に滋賀レイクスを迎え、今季のスタートを切る。