群馬県は、全国一を誇るコンニャクイモの名産地。現在、各地で収穫の季節を迎えている。近年では、若い人にももっとこんにゃくを食べてもらおうと、見た目や味にもこだわったおしゃれなこんにゃくスイーツも登場。今週はコンニャクイモの産地で作られている県産こんにゃくスイーツを紹介。
全国収穫量の9割以上が群馬産 北毛や西部でさかん
「板こんにゃく」や「しらたき」などのこんにゃく製品は、サトイモ科の多年生植物「コンニャク」の球茎、いわゆる「コンニャクイモ」を加工したもの。食物繊維が豊富で、全体の95%以上が水分であるため、カロリーが低くヘルシーな食材として親しまれている。
全国で収穫されるコンニャクイモ(54200t)のうち、94.5%(51200t)が群馬産(2021年度、農林水産省「農林水産統計」より)。県蚕糸園芸科によると、県内で最も多く生産しているのは昭和村で、渋川市、沼田市が続く。このほか、富岡市、安中市、東吾妻町、川場村など西部や北部で盛んに栽培されている。コンニャクイモは各産地で精粉加工され、この「こんにゃく粉」を原料にさまざまなこんにゃく製品が作られる。近年では、ソフトクリームやゼリーなどのスイーツのほか、精粉の工程で捨てられる「飛び粉」に含まれる成分「こんにゃくセラミド」を使った菓子なども続々と誕生している。
下仁田町
蒟蒻ソフト
下仁田こんにゃく観光センター
下仁田産こんにゃくのペーストが入った、白・赤・黒の色鮮やかなソフトクリーム(バニラミルク、生イチゴ入りのピンクストロベリー、竹炭入りのブラックチョコレートの3種、各400円)は、なめらかな舌触り。
■甘楽郡下仁田町東野牧224-5 電話: 0274-82-5411
営業時間:午前9~午後5時(夏季は6時)
沼田市
果実たっぷりの透明なジュレ
利根沼田産の果実と湧水と蒟蒻の完熟ジェリー
こんにゃく工房迦しょう
「たのしくてかわいくて蒟蒻(こんにゃく)」をコンセプトに、新たな商品開発に挑んでいる沼田の「こんにゃく工房 迦しょう」(遠藤周代表)は、天狗で知られる沼田の迦葉山麓にある。近年、自家農園で栽培するコンニャクイモを原料にした様々なスイーツを開発している。
「果実と湧水と蒟蒻の完熟ジェリー」は、利根沼田地域の果樹園で収穫された完熟果実をこんにゃくゼリーに加工。開発担当の遠藤春奈さんは「群馬といえばこんにゃくですが、健康に良いだけではなく、色々な世代の人にもっと食感の楽しさを味わってもらいたい。また、誰かに送りたくなるようなデザイン性も重視した商品で、群馬のこんにゃくを盛り上げていきたいですね」と語る。
■沼田市中発知町1455 電話:0278-23-9124
土日祝日は休み
HP:https://konjac-kasho.com/
●ここも寄ってみて!
菓匠 迦葉の「クリーム白玉蒟蒻あんみつ」
道の駅 田園プラザ川場内に今春、こんにゃく工房迦しょうが運営するテイクアウト専門の蒟蒻スイーツショップ「菓匠 迦葉(かしょう)」がオープンした。人気商品の「クリーム白玉蒟蒻あんみつ」は、見た目がまるでパフェのよう。自家製こんにゃくゼリーやこんにゃく入り白玉、みかんの果汁入りこんにゃくゼリーなど、食感の異なる3種類のこんにゃくが味わえる。カップの一番下に入ったバニラアイス、利根沼田産の小豆を使った自家製つぶあん、上からかける黒蜜との相性も良い。猫をモチーフにした最中のトッピングも可愛らしさを添える。
同店を運営する遠藤さんは「ぷにゅんとした、こんにゃくらしい歯ざわりと見た目のかわいさを楽しんで」と呼びかける。税込500円。
■利根郡川場村萩室392(川場田園プラザ内) 電話: 0278-52-3711
営業:11月30日までの土日祝日午前10~午後3時 ※12月~来年2月は冬季休業
昭和村
「お皿の上の小さな宝石」
こんにゃくわらび餅「琥珀(こはく)」
北毛久呂保(ほくもうくろほ)
褐色で透き通ったわらび餅風こんにゃくスイーツ「琥珀」を販売しているのは、昭和村でこんにゃく加工を手掛ける「北毛久呂保」(兵藤武志代表取締役社長)。コンセプトは「お皿の上の小さな宝石」。わらび餅をヒントに開発。原料のこんにゃく粉は、3年かけて大きく育てた、良質なマンナンを大量に含む昭和村産コンニャクイモを、指定工場で精粉したもの。
同社の狩野正充工場長は「こんにゃくとは思えない、柔らかくなめらかな食感にこだわりました。フルーツみつ豆、バニラや抹茶のアイスクリーム、クレープと合わせるなどのアレンジもおススメ」と話す。同社直売所のほか、ウェブショップでも販売中。650円(130g×2パック、きな粉・黒蜜が付属)。
「うまい、楽しい、おもしろい」を理念に掲げる同社の兵藤社長は、「お客様に感動や驚きを与えたいと様々なアイデアを出し合っています。昭和村の資源や価値をさらに広めたい」と意気込む。
■利根郡昭和村橡久保588 電話:0278-24-1101
HP: http://www.kuroho.com/
コンニャクでできたノンシュガーグミ
を世界の課題解決に
グミ・YUMPICK(ヤムピック)
石井メイドオリジナル
コンニャク芋生産量が日本一の昭和村で、農家を営む石井メイドオリジナル。コンニャクを使ったノンシュガーのグミ「YUMPICK」を12年間の構想を経て誕生させた。「これがコンニャク?」というようなやさしいリンゴの味が口に広がる。グミは、コリッとした食感で、つい2、3個と手が伸びる。原材料はコンニャクとリンゴ果汁、虫歯予防効果があるとされる甘味料エリスリトールだけで、香料やゼラチン、保存料を一切使っていない。
グミには、代表の石井邦彦さん(36)がペルーのタキーレ島で出会った子どもたちの虫歯をなんとかしたいという思いが込められている。2010年に南米ペルーを旅行中に出会った3歳のマリオくんの口の中が「虫歯でいっぱい」なことに気付いた。現地では元々歯磨きの習慣がない上、子どもの歯は観光客からもらう甘い菓子で、さらに悪化してしまうのだった。
石井さんは、何かできないかと考える日々が続きいたが、コンニャク農家の4代目として2015年に就農。19年からは虫歯の心配がなく食べられるグミの開発に挑戦。まず畑づくりに始まり、コンニャク芋を作るが、思いはあってもグミには、中々たどり付かなかった。コンニャクを粉にして、水分量を調整しながら試作品を何度も作り直し、食感や味にこだわった。
この10月、長い長い年月をかけた念願のコンニャクグミ「YUMPICK」が誕生し、いよいよ販売が始まった。芋の収穫とグミの製造、販売に大忙しの日々だ。石井さんは、「こんにゃく農家だからこそできる社会課題の解決に向けて、目標だったペルーにも世界中の人にも「YUMPICK」を届けたい
■利根郡昭和村糸井2078 電話:0278-25-3400 ※土日・祝日定休
HP: https://www.imo-konjac.com/
オンラインショップ:https://imokonjac.base.shop/
藤岡市
こんにゃくセラミド入りでしっとり健康に
ケーキ・グルテンフリーブラウニー
OHANA Cake’s
しっとりしてもっちりした食感になる「不思議な粉」を使ったケーキや焼き菓子を製造、販売する藤岡にあるスイーツの店OHANA Cake’s(代表取締役社長・佐々木高之)。その粉とは、コンニャクから抽出した「こんにゃくセラミド」。「こんにゃくセラミド」は、コンニャクを作る過程で廃棄されていた「飛び粉」に含まれる成分。こんにゃく由来とはいっても、無味無臭でコンニャク味は全くしない。保水成分があるため、入れることにより、しっとり、もっちりするという。さらに、食べると肌のバリア機能を高める効果も期待できると、人気モデル香里奈さんが雑誌の中やNHKのおはよう日本などメディアで取り上げられたり、健康や美容に関心がある人に好評のおいしいケーキになった。
同社は、3年前、群馬の名産コンニャクを製品に活用できないかと「群馬県産こんにゃくセラミド」に注目。人気の焼ケーキやシフォンなどに水分調整をしながら入れることで、新しいスイーツに生まれ変わらせた。
さらに、ケーキは小麦粉ではなく、おからパウダーを使ったグルテンフリー。「こんにゃくセラミド」に加え、「グルテンフリー」のケーキは、プレーンブラウニーや炭ケーキ、レモンケーキなどとしてバラエティ豊かな味わいだ。特に、コロナ禍で自宅にこもりがちの人においしいものをと考案した「グルテンフリーブラウニー」は2022年のモンドセレクション金賞を獲得。首都圏や全国の身体や健康、アレルギーに関心ある人がファンとなってリピーターが増えているという。
製造責任者の古川一男さんは「こんにゃくセラミドを活用した『しっとり・もっちり』とした新食感が楽しめるケーキは、美容や健康を考える人にも好評です。今後も価値あるスイーツを生み出していきたい」と話している。
■藤岡市中大塚279-5 電話:0274-25-8400 ※月曜日定休
HP: https://ohana-cake.com/