徳川家康が主人公のNHK大河ドラマ「どうする家康」の放送が始まった。徳川発祥の地とされる太田や館林、高崎など県内の家康ゆかりの地を紹介する。歴史のスポットを散策してみては?(谷桂・上原道子)
太田
家康を祭る世良田東照宮
徳川ゆかり長楽寺
新田荘歴史資料館
梅香る世良田東照宮は、「東照大権現」としての徳川家康を祭る神社。家康は二代将軍の秀忠によって創建された日光東照宮に祭られ、その後、三代将軍家光が日光東照宮を大改造した際に、元の拝殿や宝物を世良田に移築したもの。本殿には、日光東照宮の「眠り猫」で知られる左甚五郎作、狩野探幽画伝の「巣籠りの鷹」と呼ばれる彫刻がある。鷹狩りをしていた家康を象徴しているという。
本殿は老朽化に伴う保存修理工事のため、現在は見学不可だが、手前の拝殿でも、「鷹の彫刻」を見ることができる。本殿・唐門・拝殿保存修理工事は2025年12月まで。禰宜(ねぎ)の菊池貞寛さんは、「大河ドラマによって、参拝者が増えています。世良田東照宮以外にも徳川にゆかりの長楽寺や資料館もありますので、この機会に、探訪しながら歴史を再認識してはいかがでしょう」と呼び掛ける。
隣接している長楽寺は、徳川の先祖とされる新田義重の四男義季(よしすえ)が「徳川義季」と名乗り開基した寺。徳川家康は、北条氏攻めの功績により、関東の地を与えられ、祖先ゆかりの寺である長楽寺を、天海を住職として復興。天海は、長楽寺を臨済宗から天台宗に改宗した。南側の「新田荘歴史資料館」には、長楽寺や世良田東照宮の貴重な文化財をはじめとする資料が保管・展示され、一帯は歴史公園として整備されている。
■世良田東照宮
太田市世良田町3119-1
電話: 0276-52-2045
拝観料:一般200円、小中学生100円
■長楽寺
太田市世良田町3119-6
■新田荘歴史資料館
太田市世良田町3113-9
電話:0276-52-2215
休館・月曜日(月曜日が休日の場合は翌日) 入館料:一般200円、中学生以下無料
館林
家康の重臣・榊原康政ゆかりの土橋門と
館林市つつじが岡公園
館林にも徳川家康に関連したスポットがある。城沼を要害とした館林城は、家康を支えた重要な家臣である徳川四天王で初代藩主の榊原康政や、五代将軍の徳川綱吉が城主を務めた。同城は、1874年に大部分が焼失し、現在では本丸、三の丸、城下町などに土塁の一部が残っている。1918年に三の丸に復元された土橋門は、館林城の通用口として使用されていたもの。
康政や綱吉など歴代の藩主から現代に至るまで、保護育成しているツツジの国指定名勝、「館林市つつじが岡公園」が館林城の近くにある。現在、紅白梅やロウバイの花が香り、多くの人が訪れている。園内の「つつじが岡ふれあいセンター」では、榊原康政をコンセプトにして和紙にイラストや文字を書いた館林市限定の御城印や武将印などを購入できる(400円~)。
■土橋門
館林市城町4-32
電話:0276-74-4111 (館林市文化振興課)
■館林市つつじが岡公園
館林市花山町3181
電話:0276-74-5233 (館林市観光協会)
※つつじまつり(4月10日~5月10日)は入園料あり
高崎
井伊直政ゆかりの箕輪城と
築城した高崎城
箕輪城は約500年前に長野業尚(なりまさ)によって築かれた名城。 現在の城跡は、徳川四天王の一人で、最後の城主、井伊直政が在城当時のもの。1987年に国指定史跡に指定され、日本百名城にも選出されている。「郭馬出西虎口門」(かくうまだしにしこぐちもん)が伝統工法で復元され、2016年から公開。本丸と蔵屋敷をつなぐ木橋は工事中で通行できない。広範囲にわたる城の敷地内には散策コースが設けられ、四季折々の自然も楽しむことができる。
高崎城は、徳川家康の命を受けた箕輪城主・井伊直政が、広大な平地を求めて高崎に築城し、1598年に箕輪城から移転したとされる。城全体で、5万坪を超える広大な城郭だった。現在は、三の丸外囲の土居と堀、乾櫓(いぬいやぐら、県指定重要文化財)、東門が残る。乾櫓は、武器や食料の収蔵庫で、ここから敵に矢や鉄砲を撃ったという。県内に現存する唯一の城郭建築。周辺を囲むお堀は、高崎城の面影を伝え、桜の時期にはにぎわいを見せる。
■箕輪城
高崎市箕郷町東明屋(史跡箕輪城跡駐車場あり)
■高崎城
高崎市高松町 城址公園内
電話: 027-321-1292 (両方とも、同市文化財保護課)
大河ドラマ「どうする家康」 NHK総合 毎週日曜午後8時
群馬ゆかりの榊原氏、井伊氏登場
今年1月に始まったNHK大河ドラマは「どうする家康」(総合、毎週日曜午後8時ほか)は、嵐の松本潤さんふんする江戸幕府初代将軍・徳川家康が、波乱万丈の人生の中で訪れる幾多のピンチを乗り越えていくさまを描く。
正室(築山殿)・瀬名役を有村架純さん、織田信長役を岡田准一さん、豊臣秀吉役をムロツヨシさん、信長の妹で家康と数奇な運命をともにするお市役を北川景子さんが演じる。群馬ゆかりの人物として徳川四天王の榊原康政(館林藩初代藩主)と井伊直政(高崎藩初代藩主)も登場。文武に秀でる若き武将・康政役を杉野遥亮さん、遠江井伊谷の井伊家の御曹司・直政役を、板垣李光人さんら気鋭の若手俳優が務める。
脚本は、「リーガル・ハイ」や「コンフィデンスマンJP」など数々のヒットドラマを生み出した古沢良太さん。名高い歴史上人物の生涯を新たな視点で表現している。
●2月26日放送回(第8話)
「三河一揆でどうする!」
本證寺(ほんしょうじ)から年貢を取り立てようとする家康に対し、一向宗徒が三河各地で一揆を起こした。武力で抑え込もうとするが、有能な軍師がいるらしく、すべての作戦が裏目に。周囲の領主も寝返る中、家康は服部半蔵(山田孝之)を寺に潜入させる。空誓上人(市川右團次)を補佐する意外な〝軍師〟の正体とは…。
今年6月に開局90周年を迎えるNHK前橋放送局では、これを記念した2つのイベントを展開中。問い合わせは同局(027-251-1711)へ。
■等身大パネルが県内25カ所に 「出張」ミニ巡回展
「どうする家康」主要キャスト6人の等身大パネル=写真=と番組関連ポスターが県内25カ所へ出張。自由に撮影を楽しむことができる。会場や会期日程の詳細はHPへ(https://www.nhk.or.jp/maebashi/taigacampaign/)
■市12カ所で「ぐんま巡り」 オリジナルスタンプをゲット!
家康に関連する寺院や博物館など太田・館林・高崎にある12の関連施設を巡りスタンプを集める「ぐんま巡り」を実施中。NHK前橋が作成したオリジナルスタンプとスタンプ帳は各施設(一部、近隣の指定施設)に設置。詳細はHPへ(https://www.nhk.or.jp/maebashi/meguri/)