「やさいのはな なんのはな?」
野菜の花を撮影した色彩豊かな図鑑絵本
「青い空をバックに地球のように丸くぎっしりと寄せ集まった花」「お星さまのように咲く黄色い花」「ラッパのような薄紫の花」などなど。ページをめくるたびに見たこともないような野菜やかわいい花の写真が絵本を彩る。
「わかるかな?野菜の花だよ、何の花?」とクイズ形式の問いかけに、ページをめくると答えになる野菜が現れる絵本「やさいのはな なんのはな?」(岩崎書店)が5月中旬に出版。その前に、全国の書店で予約が始まった。
絵本の写真を担当したのは、本紙のコラムでもおなじみの前橋市在住の農業カメラマン網野文絵さん。構成と文は、食や生活などを身近な目線で執筆する宮崎祥子さん。絵本・児童書の大手出版社、岩崎書店(東京都文京区)が、子どもの知的好奇心を高めて育てようと出版する科学絵本「かがくすっ」シリーズの第1弾だ。
種苗会社のカメラマンからフリーランスとなって1年。これまでも雑誌掲載や写真展など県内外で活躍してきた網野さん。1年前に出版社から依頼があったうれしさや、製作の面白さを感じた。だが、その半面、めったに見たことがない野菜の花の撮影に、四苦八苦したこともあった。「花が咲いて実になるキュウリなどの花は、撮影しやすいですが、ゴボウなど根菜類は、花が咲く前に収穫をするため撮影が難しいのです。農家さんが育てた野菜をあえて収穫せず、畑に放置してもらって花が咲くのを待つのですから」と振り返る。「何人もの生産者に断られたが、信頼を重ねてようやくゴボウの花が撮影できたときは、飛び上がるほどうれしかった」という。
32ページの絵本の中には、他にも、タマネギ、レタス、トマト、ブロッコリなど…。レンコン以外は、「オール群馬」の野菜や野菜の花を撮影した約50点もの写真を掲載してある。
いつも食べているのに、花を見たことがない野菜も多く、大人も子どもも野菜について、さらに興味が湧き、読んで知る楽しさだけでなくアートな雰囲気も感じる渾身の野菜の図鑑絵本が出来上がった。
網野さんは、「子どもの頃、野菜嫌いだった私ですが、たくさんの人の協力があって野菜の絵本を作ることができました。クイズ形式なので、親子でも、1人でも楽しめます。絵本によって、生産者と消費者、特にお子さんを繋げることができてとてもうれしい。ぜひ、絵本を手に取ってご覧ください」と呼び掛ける。本体価格1400円。B5変型判。
なお、出版記念写真展は、6月3~7月17日まで、イオンモール高崎未来屋書店・無印良品で開催。トーク会や撮影講座、工作ワークショップなどイベントあり( 027-372-7344 )。 (谷 桂)
インスタグラム:@amino_fumie
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