「自然」や「生命」彷彿とさせる色とカタチが躍動

郷里・前橋で初個展 ヤマトギャラリーで5月31日まで

画家  新井 三呼(みこ) さん

色鮮やかな油彩画を創作する前橋出身の画家、新井三呼さんの県内初個展「OIL SPIRIT」が、前橋市古市町のヤマト本社ギャラリーホールで開催中だ。赤、青、黄、緑などで彩られた作品はカラフルで、会場は清々しい雰囲気に包まれている。

新作と新井さん

【平面や立体など約50点】
地域貢献の一環としてギャラリーを運営するヤマトは、群馬ゆかりの気鋭アーティストを支援しようと同展を企画した。1974年生まれの新井さんは前橋女子高、多摩美大を卒業後、新潟に居を移し同県や都内を中心に作品を発表。2020年に帰郷し、現在は榛東村にアトリエを構え、制作活動に励んでいる。

【タイトルもモチーフもない】
今展は、高校時代に描いた木炭デッサンやオブジェを始め、新潟時代のデビュー作から帰郷後の最新作まで約50点で構成。会場には大胆かつ繊細な筆致と、瑞々しい色彩に満ちた油彩画やドローイングが並ぶ。

出品作にタイトルはなく、具体的なモチーフも描かれていない。「何かを表現しているのではなく、自然と生まれ出てきたものを捕まえてキャンバスに落とし込んでいる感じ。ただし、それが高度な知的作業にならなくては、〝絵〟にはならないのです」と話す。

【自然発生的で原始的な絵】
今月15日、今展の関連イベントに登壇したシュルレアリスム研究者の巌谷國士さんは、「テーマも題名も必要としない、自然発生的で原始的な絵」と新井さんの作品を評したが、空や風、雨、種子、花、鳥など「自然」や「生命」を彷彿とさせる色とカタチが自由奔放に躍動する画面は、観る者を一瞬にして惹きつける強烈なオーラを放っている。

【大切なのは孤独と対話】
郷里での初個展のテーマ「オイル・スピリット」は、「油彩画に潜む美しさや深い精神性を追求し、制作に真摯に向き合う姿勢そのもの」を表わしているという。大学時代から油彩画の透明感溢れる色彩に魅せられた新井さんは、「絵を描くにあたって、日々を生きるにあたって大切にしていることは『孤独』と『対話』。自然や文学や詩や音楽、そして愛する人たちや自分自身と向き合う中で生まれた作品を一人でも多くの人に観てもらい、色んなことを想像して楽しんでもらえたら嬉しいですね」と笑う。 (中島美江子)

 

色鮮やかな作品が並ぶ会場=ヤマト本社ギャラリー

【新井三呼展】入場無料。5月31日まで。午前10~午後5時。土日祝日休館だが4月22、23日開館。
同社( 027-290-1800 )

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