群馬交響楽団 新体制で定期演奏会
今年度から飯森範親(59)さんが常任指揮者に就任した群馬交響楽団(以下、群響)は、4月22日に初の定期演奏会を晴れやかに行った。
飯森さんは、半年前の就任会見から一貫して「県民に必要とされ、もっと聴きたいと思われるようにしたい」と信念を持ち続けてきた。楽員にも、「できることは何でもやりましょう」と、ぶれない目標を定める。
その実践の一つとして、定期直前のリハーサルを公開した。指揮者と演奏者とのやり取りや音楽が作られていく過程を観客と共有。他にも、開演前に「プレ・コンサート・トーク」として、指揮者自身が曲への思いや解釈を語った。聞き手も音楽をより深く楽しめる新たな試みが好評。
群響は今年度、コンサートマスターを10年ぶりに2人体制に強化。2009年からコンサートマスターを務めてきた伊藤文乃さん(54)が、ソロ・コンサートマスターに昇格。4月新たに入団した福田俊一郎さん(29)がコンサートマスターに着任した。
福田さんは、神奈川県出身。東京音大を首席で卒業し、ソリストとして東京交響楽団などと共演するヴァイオリニスト。二人のコンマスがいることで、「お互いにフォローして役割分担しながら、群響をけん引できる」と飯森さんは期待を寄せる。
演奏会当日は、軽やかで洗練されたモーツァルト交響曲第1番からスタート。第2ステージは、ソリスト三浦文彰さんを迎えてショスタコヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番を熱演。第3ステージは、飯森さんが「就任の決意表明」と力を入れ、大編成で取り組んだR・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。伊藤さんのソロを交えてドラマチックなうねりが感じられた演奏に。最後、指揮棒が降りた瞬間、1500人を超えた拍手が大劇場に響き渡った。終演後は、飯森さんがホワイエに姿を見せて聴衆を見送る場面もあった。
今年度、飯森さんは、常任指揮者として群響を率い、定期演奏会の他、室内楽や学校音楽鑑賞教室にも取り組む。 (谷 桂)