地球、人、文化が再生するまちのデザインを

自然と共生する
-ソウワ・ディライト 渡邉辰吾社長に聞く

昨年から、スタッフに加わったロバの「ニコラ」の登場に喜ぶ地域の子供たち。その後、ヤギも加わった(同社ココノモリ)

森のような空間があり、ロバやヤギがいる前橋市小屋原町の電気工事業「ソウワ・ディライト」。企業が地域において、どういう役割を担い、どう果たしたらいいのか。デジタル化をどう考えるか。自然と共生する渡邉辰吾社長(45)にインタビューした。  (谷 桂)

ー昨年は、「サスティナブル」をテーマにした横浜の国際会議に参加しました
グローバルで活躍するリーダーが集う会議では、パネリストの一人として、「地球、人、文化が再生するまちのデザイン」をテーマに登壇しました。コロナを経験して、「人間が自然と共生する課題」や「企業が地域においてどういう役割を果たしているのか」を紹介しました。弊社では、2021年に緑地「ココノモリ」が誕生して、昨年からは、ロバやヤギを飼い、自身が早朝から世話をしています。

ーまちのデザインで気になることは?
例えば、前橋では、「デジタル田園都市国家構想」が採択され、様々な事業が進んでいます。そこで、「自分たちの住みたい街」は、デジタル、アナログ問わず、「どういう街でありたいか」がとても重要になると思うのです。美しい街なのか、助け合いに溢れている街なのか。それとも…。デジタル化のスピードがいくら速くても、情報格差によって、一部の専門家に任せきりでは悲しいですよね。「自分たちはこう思う」というアイデンティティを放棄してることにもなります。

意思決定に関しても、行動パターンによって様々な情報や選択肢が得られる一方でビッグデータによって一元管理されることは、プライバシーや嗜好性も管理されることになります。自分たちの価値観に、ものすごいスピードで、データが介入し始めているのを感じます。

ー地元企業が地域において果たす役割とは?
地元の人や企業こそ、デジタルやまちづくりに関して、分からないではなく、よく理解して判断する必要があると思っています。子どもたちがこれだけ悲しそうな顔をしたり、環境がおかしくなってるのに、便利さだけを優先していることに、なぜ気づかないのか、ということです。

私は森や動物、微生物に注目していますが、人間は便利なことばかりを享受する生き物じゃない。ちょっと、危険でドキドキ感みたいなものがあった方が、人間らしいのでは、と気付いたのです。社会にとって、これからの地球にとって、未来にとって必要なっていくところに力を費やしていきたいです。

今秋の中之条ビエンナーレにも、表現者としてアートを出展します。今後も未来志向の人たちと繋がり、社会課題に対して真剣に取り組んでいきたいです。

渡邉辰吾プロフィール
ソウワ・ディライト代表取締役CEO。1976年生まれ、群馬県前橋市出身。2015年より現職。電気工事業を生業とする中でデンキが創り出すミライへの可能性を教育や環境分野を中心として、アート的に表現するだけでなく、群馬県及び前橋市の行政政策にも深く関与し官民共創のデザインを地域に創り出している。

■同社主催イベント「こままつり・馬と珈琲」
6月17日午前10~午後3時まで。社屋前の駒形バイパスを渡った向かい側。人と馬の関わりは、昔からとても深いものと、「馬と綱引き」「馬力で引っ張る芝スキー」「ロバ・ヤギとのふれあい」などを行う。馬、ポニー、ロバ、ヤギが各2頭来る。18歳以下無料。大人3000円(ドリンク付き)。
問い合わせ:sowa@sowadelight.com

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