高崎・アートこうげつ人形
夏本番を前に、お盆や夏祭り用の提灯作りが最盛期を迎えている。高崎市山名町の人形工房「アートこうげつ人形」では、職人たちが下描きから墨入れ、組み立て、防水加工まで一つひとつ手作業で丁寧に仕上げている=写真。
人形工房は、老舗店「こうげつ人形」で修業を積んだ渡邊聖也社長と、父親で人形師の泉二会長が2019年に創業。雛人形や五月人形の製造販売から山車人形や山車幕の製造修理、提灯製造まで幅広く手掛ける。提灯作りは春から夏にかけて本格化。今夏はコロナの5類移行を受け、中止が続いていた夏祭りの多くが再開され需要もコロナ前に戻りつつあるという。今月中旬にピークを迎え、秋頃までに約千個を製作する予定。
工房にはお盆用の丸型提灯や神輿の先頭に掲げる丸長型の高張提灯、祭り用の細長い弓張提灯が所狭しと並ぶ。シンプルな黒文字一色から朱色に彩られた華やかなものまで多彩。伝統的な手描き和紙提灯に加え、現代的なプリント文字のビニール提灯も扱う。近頃は印刷技術向上により、現代的な提灯も評判が良い。
提灯に絵柄や家名などを書き入れているのは聖也社長と泉二会長、人形師の横内英実さん。「伝統的な提灯は書き手によって絵柄や文字が微妙に違う。そこが味があって面白い。現代的な提灯は発色が綺麗で丈夫。それぞれの良さがあります」と泉二会長。
提灯を手掛ける店は年々減少しており、工房にはインターネットを通して全国から注文が届く。製作を急ピッチで進めている聖也社長は、「そのままでも風情がありますが明かりを灯すと一層美しく幻想的。日本の伝統文化であり、夏に彩りを添える提灯の豊かな表情をぜひ味わって」と話す。同工房( 027-381-6233 )。