人も動物も共に生きる地域社会を
―いせさき地域ねこ連絡会「ねこまる」―
県内では、特定の飼い主がいない猫を適正に管理する「地域猫活動」に取り組む団体や個人がいる。その中でも個人が連携を取りながら、1年前に立ち上がったのが、伊勢崎市の有志団体「いせさき地域ねこ連絡会」、通称「ねこまる」。「共に生きる地域社会を目指すために、特徴的で新しい活動をしたい」という中山真理子代表に、同会の取り組みについて取材した。 (飯塚ゆり子)
TNRで飼い主のいない猫を適正に管理
伊勢崎市内の個人が取り組んでいた「地域猫活動」が連携することで、2022年「ねこまる」は誕生した。現在、19人のメンバーで構成されている。個々で活動していた人たちが集まり団体になったことで「活動しやすくなっただけでなく、仲間がいる心強さを感じられるようになった」と代表の中山さんは笑顔を見せる。
同会の主な取り組みは、地域に住む猫を適正に管理する「地域猫活動」と「猫に関する相談への対応」、「保護・譲渡」の3本柱だ。
中心に取り組むのが、「地域猫活動」。特定の飼い主のいない猫を不妊去勢手術したり、時間を決めてエサや水をあげ、糞尿の始末をするなど、適切に管理していく。
それにはまず、猫を捕獲Trap(トラップ)して、不妊去勢手術Neuter(ニューター)を施して、元にいた場所に戻すReturn(リターン)の「TNR」を行うことが重要だ。同会が昨年1年間で「TNR」活動を実施した猫は、173匹。さらにその後、地域猫として、世話をしている猫は109匹を数える。
相談のほとんどは増えることへの不安
「猫に関する相談への対応」については、月15件ほど。そのほとんどが「近所で猫が生まれ、数が増えている」というもの。会によると「増える所には、手術せずに無責任にエサを与える人が必ずいる」という。会員が現場に出向いて、エサを与える人と根気強く話をし、不妊去勢手術の必要性など「TNR」を説明する。飼い主のいない屋外で暮らす猫の寿命は、3~5年。相談を寄せた人も「増えることへの不安がない」と分かると「限られた命」だから寛大に見守るようになるという。
新しい譲渡の形で家庭で過ごす猫を
3つ目の取り組みは「保護・譲渡」。同会では、子猫のほか治療が必要な成猫は保護。譲渡までは人や家に馴れるようシェルターなどで過ごす。昨年1年間で保護した猫は144頭でそのうち57頭を譲渡した。
さらに、同会が新たに取り組むのが成猫と60歳以上の高齢里親とのマッチングだ。社会の高齢化に伴い、高齢者にも動物と暮らすことで豊かな暮らしをしてほしいとの思いから考案中だ。高齢者に譲渡することの問題点や自分たちができるサポートを見据え、実現に向けて動き出している。
中学生も活動に興味
7月には、会の活動に興味を持った市立四ツ葉学園中等教育学校(上植木本町)の1年生、加藤心美さん、小澤柊織さん、黒須桜子さんが、総合学習の一環として同会を訪問し、取り組みや課題について熱心に聞いた。生徒たちは、「スタッフの負担が多くてビックリした。寄付活動に協力したい」「住民も猫も幸せに暮らせる地域になるといい」「駅周辺の空き家を活用し、市営の猫カフェを運営できないか」などと活発に発言。会のメンバーは「若い協力者の存在は、頼もしく活力となります。自分たちにはない発想が聞けた」と目を細めた。同会では、さらに様々な地域の人と連携を深めながら、「地域猫マップ」作りや団体の法人化を目指す。
9月20日から26日は動物愛護週間。自分にできる動物愛護の方法を考えるきっかけにしたい。
■ねこまるHP
https://www.isesakinekomaru.com/
活動は伊勢崎市全域