シェアカフェ 広がるコミュニティの場

冷蔵庫やオーブンレンジ、コーヒーカップ、グラスなどのキッチン設備のほか、椅子やテーブルなどカフェスペースをまるごとレンタルできるシステム「シェアカフェ」。
にぎわいを生み出すコミュニティ空間として、県や市町村が、場を提供する例も増えてきている。藤岡市と県庁の試みを紹介する。
(谷 桂、上原道子)

良品計画プロデュースで桜山公園にオープン
みんなのカフェ「しき」藤岡)

無印良品ブランドの家具などを使用し、良品計画が空間プロデュースした店内。手前のテーブルは、伐採した桜の樹を使用したテーブル

冬桜がピンクの花をつけている県立桜山公園に先月29日、シェアカフェ「みんなのカフェ『しき』」がオープンした。「桜山公園ににぎわいをもたらし、地域に気軽に集える場所を作りたい」と、「無印良品」のブランドで雑貨などを展開する良品計画(東京都)に藤岡市が依頼して実現した。

同市鬼石総合支所にぎわい観光課の飯塚国博課長によると「公園の年間観光客数は、数年前には、ピーク時の約3分の1。秋冬のハイシーズンしか来園者がいない状況を何とかしたかった」と話す。アンケートによると、観光客からは「お茶ができるカフェがほしい」との声があり、一方で、移住者からは「開業したいが資金がなく踏み出せない」という悩みが浮かび上がった。両者の意見を踏まえ、同市は園内の休憩棟を活かして、見晴らしの良いシェアカフェを誕生させた。

プロデュースを依頼された「良品計画」は、鬼石中の生徒や地元の人とワークショップを重ねながら、地元に寄り添った空間づくりを展開。デザインは、白い壁と木のぬくもりを前面に出したシンプルなものに。地元石材や桜の廃材を活かしたテーブル、中学生が協力した観光マップも設置し、居心地の良い空間が出来上がった。来月中旬までは、冬桜と紅葉が見頃を迎え、カフェから楽しめる。

食事やお茶を提供する出店者は「酵母パンたびびと」や「Chez mama(チェズママ)」、「鬼石の喫茶店『ポアロ』」など5事業者。市内の人でなくても出店可。いずれもこだわりのメニューだ。来園した高崎の女性は、「冬桜と一緒にカフェが味わえて豊かな気分になった」と喜ぶ。同課では「いつかお店を開きたい人に夢をかなえる第一歩として利用してほしい」と語る。店の営業スケジュールは同市公式サイト内に掲載。

焼菓子とコーヒーなどを提供する「鬼石の喫茶店『ポアロ』」
肉料理が得意な「Chez mama」
「酵母パンたびびと」のグルテンフリーケーキ

■桜山公園 みんなのカフェ「しき」
場所:藤岡市三波川2166-1 営業時間:出店希望者がいる場合のみ 午前10時~午後5時
※ライトアップ期間(10月28日~11月26日の土・日曜、祝日)に出店がある場合は午後8時まで。
駐車料金、普通車500円(12月上旬まで)
藤岡市公式サイトのカレンダー参照。
出店利用料金は日額3500円など。問い合わせ:同市鬼石総合支所 にぎわい観光課(0274-52-3111)

コンセプトは「誰もがご機嫌になれる31階」
県庁の新たなコミュニティ空間へGO!
ソーシャルマルシェ&キッチン GINGHAM ギンガム(前橋)

ソトコト・シェフズラボが総合プロデュースを行った、ソーシャルマルシェ&キッチン ギンガムのシェアキッチンエリア

県庁31階に今年6月、新たなコミュニティー空間が誕生した。その名も「GINGHAM(ギンガム)」。360平方㍍にシェアキッチン、広場、シアターの3エリアがあり、事前に申し込みをすればそれぞれ有料で借り切ることができる。これまで、観光情報コーナーだったフロアだが、県民の財産の一つである県庁を有効に活用してもらいたいと改装。県の委託を受けたソトコト・シェフズラボ(東京)が総合プロデュースを行う。

半円形の大きなカウンターキッチンには、タッチレスの水栓やIHクッキングヒーターなどを設置。オーブンや炊飯器、ケトルなどの調理家電は、洗練されたデザインで人気のメーカー「バルミューダ」の製品で統一した。カウンター下には食器のほか鍋、包丁などの調理器具に加え、冷蔵庫や製氷機も完備。Wi‐Fi環境も整えらえ、調理の様子を上から撮影できるWebカメラからその様子をスクリーンに映し出せる(別途有料)。

6月のオープン以来、徐々に利用が増え、先月には累計来場者数が5万人を突破するなど、認知度も上がってきた。

仲間だけの会食や、料理教室や食のワークショップなどのイベント開催、これからカフェなどを始めてみたいと思っている人のリハーサルなど、アイデア次第で様々な利用が可能だ。

営業時間中はコミュニティマネージャー(以下、CM)が常駐し、利用を検討している人の相談に乗ってくれる。また、利用者同士の交流促進やマッチングなど、出会いを広げる役割も担う。CMの一人、神坂桜子さん(21)は、「コンセプトは『誰もがご機嫌になれる31階』。貸し切りでない時は飲食をしたり勉強したりと、誰でも自由に過ごせる無料のコミュニティ空間。気軽に遊びに来てください」と呼びかける。

6月のお披露目イベント「県庁リボーンフェス」で実際にキッチンを使っているところ
キッチンに隣接する広場。ギンガムチェックの布で飾られた天井が印象的

【GINGHAMのシェアキッチンで開催が予定されている、一般参加も可能なイベント】
●「第5回 お芋会」 19日午後5~7時(要事前申し込み)
●「玉ねぎ麹ワークショップ」 26日午後2~3時(要事前申し込み)
●「クリスマスマルシェ」 12月16日
●「ナイトキャンドルデー」 毎週火曜日午後7~8時

■ソーシャルマルシェ&キッチン「GINGHAM(ギンガム)」
場所:前橋市大手町1丁目1-1 県庁31階
営業時間:午前10~午後9時(12月25日~1月3日閉場)
レンタル料:キッチンスペース(シェアキッチンとテーブルスペース)3500円(1時間)ほか
HP: https://gingham-gunma.com/
インスタグラム: @gingham_gunma
問い合わせ:県財産有効活用課( 027‐897-2773 ) へ

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