西洋のクリスマス伝統菓子 @ぐんま

もうすぐクリスマス。ヨーロッパでは各地域に伝わる伝統菓子を食べてクリスマスを祝う習わしがある。今週は、日本でも近年、注目されつつあるフランスのベラヴェッカ、イタリアのパネットーネに加え、すっかりおなじみになったドイツのシュトレンを販売する県内の洋菓子店やパン工房を紹介する。(上原道子)

パネットーネ

【パネットーネ(Panettone)】イタリア・ミラノ発祥の伝統的な発酵菓子パン。パネトーネ種と呼ばれる酵母を使い長時間発酵。生地にドライフルーツを混ぜ込んで焼く。今年から12月1日が「パネットーネの日」(日本パネットーネ協会)に。パネットーネはイタリア語で「大きなパン」の意味

理想の味を追求 現地視察しブラッシュアップ
ヴァンダラスト (太田)

フルーツたっぷりのパネットーネ(税込4000円)は直径約18㎝、高さ約10㎝

太田の人気パン店「ヴァンダラスト」では、パネットーネを通年で販売している。コロナ禍で客足がパタリと止まってしまった2020年。大村田社長は思いがけず自分の時間ができたことからパネットーネ作りに初挑戦。「完成まで4日かかるので普段のパン作りの中に組みこむのはとても大変なのです」と大村さん。試作を重ね商品化すると好評に。昨年はパン職人の先輩の勧めで「第1回全国パネットーネコンテスト」に出場し、見事ファイナリストに名を連ねた。

焼き上がり後は生地がしぼまないよう串に刺し逆さにして冷ます

味のブラッシュアップと原料調達ルート開発のため先月末、大村さんは一人、本場イタリアへ飛び立った。「理想の食感や香り、味にはまだ到達していないというのが正直なところ。現地を訪れ本場をリスペクトした上で、日本人の好きな味、自分のおいしいと思うパネットーネをさらに追求していきたい」と意気込む。大村社長は、「パンでもない、焼き菓子でもない、パネットーネ独特の華やかな香りと食感をぜひ体感してほしいですね」と呼びかける。

パネットーネの味を追求し続ける大村社長

■WANDERLUST (ヴァンダラスト)
太田市西本町5-30/☎  0276-22-2200 /営業時間午前7~午後5時/定休日:水曜/
HP: https://wdlst1976.com/  インスタグラム :@wdlst1976
※クリスマスケーキ作りワークショップ参加者募集中

本格パネットーネ 21日に販売
ひなたぱん工房 (みなかみ)

みなかみ町月夜野の自宅の一角で毎週木曜のみオープンする「ひなたぱん工房」では、パネットーネの販売を今月21日に数量限定で行う(税込2600円)。普段から無添加製造にこだわる村田朋枝さん(63)さんのパネットーネには、栄養価も高い平飼いアローカナ卵(高山村産)を使用。卵黄のみを使用するため生地が黄色いのが特徴だ。また、地場産完熟はちみつを使い、やさしい甘さに。具材も、国産レモンピールや長野産マーマレード、オーガニックのレーズンなど体にやさしいものを選ぶ。一人でパン作りに励む村田さんは昨年、本格パネットーネの製法を確立した鈴木弥平氏の講座で基本を学んだ。その後、「自分の〝位置〟を確認したい」と今年11月、第2回パネットーネコンテストに出場。見事ファイナリストに選出された村田さんは、「最優秀の方のは香りや味、生地の感じ、見た目など素晴らしかった。自分もいつかそこにたどり着けたらいいですね」と話す。

■ひなたぱん工房
みなかみ町月夜野3278−8/☎ 090-4711-5299 /毎週木曜のみ営業/午前11時~売り切れ次第終了
インスタグラム:@hinatapan6344
※高山村には日曜のみオープンするピッツァカフェも運営

ベラヴェッカ

【ベラヴェッカ(Beerawecka)】 フランス東部、アルザス地方の郷土菓子。発酵させた生地に、洋酒に漬け込んだ洋梨をはじめとする様々なドライフルーツやナッツ、スパイスをふんだんに混ぜて焼く。アルザス語で「洋梨のパン」という意味

2週間熟成させて店頭へ  チーズをのせればワインのお供にも
パティスリー ナチュレル ミヤケ (桐生)

シロップを塗り終えたベラヴェッカ

桐生の洋菓子店「パティスリー ナチュレル ミヤケ」では、発酵焼き菓子「ベラヴェッカ」を先月から販売中だ。キルシュ(サクランボの蒸留酒)にじっくり漬け込んだドライフルーツは、レーズン、洋ナシ、杏、イチジク、オレンジピール、リンゴ、プルーンの7種類。クルミ、ヘーゼルナッツなどのナッツ類が食感にアクセントを加えている。木の葉型に成形し、しっかりとした焼き色を付け、キルシュと粉糖を混ぜたもの(グラサージュ)を塗り、つやを出す。製造は、フランス在住歴14年の同店スタッフ・木暮小百合さんが担当。俳優・秋吉久美子さんの元付き人で、パリの料理学校「ル・コルドン・ブルー」卒業後、現地の名店「アラン・デュカス」でシェフパティシエを6年間務めたという経歴を持つ。ベラヴェッカは三宅新社長の提案で商品化。2013年に秋吉さんがテレビで紹介し話題となった。「時間が経つと洋酒たっぷりのフルーツが熟成していくので味の変化も楽しんで」と木暮さん。また、三宅社長は「実はワインにも合う。薄くスライスしてゴルゴンゾーラチーズなどをのせるのがおすすめ」と話す。2月ごろまで販売。予約可。

焼きたてのベラヴェッカに仕上げのつや出し用シロップを丁寧に塗る木暮さん

 

ベラヴェッカ・大は箱入りで税込2500円。小は箱なしで同1200円。

■パティスリー ナチュレル ミヤケ
桐生市広沢町間ノ島393-6/☎ 0277-52-5852/月火曜は定休、その他は不定休/
営業時間:午前10~午後7時/インスタグラム: @patisseriemiyake

シュトレン

【シュトレン(Stollen)】 ドイツの伝統的な発酵菓子。洋酒漬けのドライフルーツやナッツがふんだんに入っている。4週間前からイブまで毎日スライスして少しずつ食べる習慣がある。トンネルのような形から「坑道」を意味するドイツ語が由来とされる

添加物不使用、具材たっぷり「伝説」の味
地球屋パン工房 (榛東)

榛名山中腹で、無添加にこだわるパンを製造する「地球屋パン工房」では、「伝説のシュトレン」と名づけた商品を冬季限定で販売している。

9年前、同店オープンの際に指導を仰いだ、無添加パンの第一人者、廣瀬満雄氏によるレシピ。商品名は廣瀬氏が本場ドイツで苦労して手に入れたという“伝説”に由来する。

レーズン、カレンツ、オレンジピール、レモンピール、イチジクなど5種類のドライフルーツは、ラム酒、ブランデー、焼酎をブレンドしたものに2カ月間じっくり漬ける。生地には、作りたてバターや、北海道産高級小麦粉を使用。自家培養天然酵母で丁寧に発酵を重ね、フルーツを混ぜ合わせて焼き上げる。最後は、熱したバターに浸したあと粉糖をまぶして出来上がり。完成までに実に8時間を要するという。鈴村瑞宙社長は「この時期、毎朝早起きして作っています。体にやさしく、香り高い自慢のシュトレンをぜひ、どうぞ」と話す。

■地球屋パン工房
榛東村上野原1-1/☎ 0279-70-8000 /年中無休/
営業時間:午前10~午後5時(モーニングは午前7~9時半)/
インスタグラム:@chikyuyapan

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