大賞は伊勢崎工業高1年の川﨑さん
ネッツ高崎社長賞は高崎北高1年 塚田さん
学校賞は3年連続の高崎北高
第9回朝日中学生高校生フォトコン(群馬県朝日新聞グループ会、ネッツトヨタ高崎主催、全日本写真連盟群馬県本部共催)審査が昨年12月、朝日新聞東京本社と朝日ぐんまで行われ、最高賞の大賞朝日新聞社賞に伊勢崎工業高1年の川﨑佑真さん(16)「眼力」が輝いた。
ネッツトヨタ高崎社長賞は、高崎北高1年の塚田結衣さん(16)「Take Your Time.」に決定。特別審査員の故・吉野信氏の吉野信賞は、審査員の合議により富岡実業高2年の堀口璃桜さん(16)「激闘の行方」、特別審査員の清水哲朗賞は新島学園中1年の萩原綾乃さん(13)「夕暮れ時」、朝日新聞社前橋総局長賞は高崎北高2年の須賀千陽さん(16)の「Summer Time」が選ばれた。学校賞は入賞数、応募数共に最多の高崎北高が3年連続受賞の快挙を果たした。第9回中高生フォトコンは高校22校287人から1308点、中学2校19人から35点、応募総数1343点、計306人から作品が寄せられた。東京審査に立ち会った清水さんは、「コロナ禍から解放され、撮りたかったものを自由に撮れる喜びに満ちた作品が多く、審査していて非常に楽しかったです」と笑顔で語った。
ネッツトヨタ高崎の小西雅之常務取締役は「何気ない日常からキラキラした瞬間を見つける中高生の感性が素晴らしいですね」と話す。朝日新聞東京本社映像報道部の加藤丈朗部長は、「自分独自の目線で、人と違うものを撮りたいという強い意志が伝わってくる写真が多かったように思います。全体的に良作が集まり、とても引きつけられました」と総評した。
※受賞者の年齢は応募時
大賞 朝日新聞社賞
「眼力」
川﨑 佑真 さん(16) 伊勢崎工業高1年
講評
偶然か計算か「未完の完」の魅力
朝日新聞東京本社 映像報道部長 加藤丈朗
黒々とした愛犬の毛並みや口にくわえた玩具の赤色がどこか不穏で、ギリシャ神話に登場する冥府(めいふ)の番犬ケルベロスをほうふつとさせます。撮影した時間帯も良いですね。焼け色が少しだけ残る空の色味が効果的で、異界のような雰囲気を漂わせています。ストロボの強い光と、少し傾いた構図のアンバランスさも新鮮で面白いですね。これは偶然なのか計算されたものなのか。何を狙っているのか分からないからこそ、見る人の心をつかんで離さない魅力があるのでしょう。「未完の完」とでも言いましょうか、とても印象深い作品です。
ネッツトヨタ高崎社長賞
「Take Your Time.」
塚田 結衣 さん(16) 高崎北高1年
講評
日常風景をアイデアと工夫で素晴らしい作品に
ネッツトヨタ高崎 常務取締役 小西雅之
水たまりに映る自転車と動きのある雲、それを透かす隠れた太陽。豊かな色彩に新海誠監督のアニメ映画を連想しました。タイトルの意味は「ごゆっくり」。左の速度制限標識は広角レンズの効果で斜めになっており、これが現実感を出して面白いです。奥行きや高さの表現もパーフェクト。特にカメラを水面近くまで下げたのは、我々大人には新鮮なアングルでした。ごく日常の風景がアイデアと工夫で素晴らしい作品に仕上がっています。
吉野信賞
「激闘の行方」
堀口 璃桜 さん (16) 富岡実業高2年
講評
激闘の行方 イメージさせる表現力の高さ
(合議による講評)
ボールもグラブもバットも何も写っていないのに、高校野球独特の緊張感と緊迫した試合展開が伝わってきます。撮影位置やアングルも絶妙で、球児たちの感情の起伏が頂点に達した瞬間を見事に捉えています。タイトルにあるように、激闘の行方をイメージさせる表現力と、切り取り方が凄く上手いなと感じました。球音や歓声が聞こえてきそうな、とても良い写真です。
清水哲朗賞
「夕暮れ時」
萩原 綾乃 さん (13) 新島学園中1年
講評
物語が凝縮された一枚に
写真家 清水哲朗
視点、切り取り、光のとらえかたに、うなりました。靴先を絶妙な高さでちょこんと水に触れさせたり、波紋で見る側の好奇心をかきたてたり、足のラインを道の線と平行にしながら対角線構図でまとめたりと、被写体を美しく見せながら印象的な作品に仕上げるのが実に巧み。色気や感情、物語などが凝縮された一枚に、作者の大いなる可能性と今後の活躍を感じました。
朝日新聞社前橋総局長賞
「Summer Time」
須賀 千陽 さん (16) 高崎北高2年
講評
笑い声が聞こえてきそう
朝日新聞前橋総局長 八木正則
暖かい色の夕陽の光が、仲良く楽しそうにしている2人の姿を照らしています。他の人が入り込めないような、若い人の世界を感じます。画面全体を暖色にまとめ、トリミングをして余分なものを入れずに、効果的にまとめました。生徒の楽しそうな笑い声が聞こえてきそうな作品です。
■朝日フォトコン作品展&清水哲朗特別講演会
朝日フォトコン作品展が今月9~11日、高崎シティギャラリー第2展示室で開かれる。2023年の入賞・入選・努力賞・準入選作と、中学生高校生フォトコン入賞作の計352点を展示。午前9時半~午後5時。入場無料。
また、関連イベントとして今月10日午後1時半より、同シティギャラリーコアホールで、特別審査員で写真家の清水哲朗さんによる講演会を開く。 「モンゴル取材25年の軌跡」と題し、清水さんが四半世紀にわたるモンゴルでの撮影活動で出会った人々との交流や、現地の暮らしなどを動画やスライド上映を交えて紹介。清水さんによる、朝日フォトコン2023および朝日中高生フォトコン上位入賞作品への講評も行う。観覧無料。問い合わせは、同事務局( 027-221-1435 )へ。