翔鶴 SHOKAKU 群馬クレインサンダーズ  夢のB1昇格へ!

開幕戦2試合で計43得点を挙げたロスコ・アレン=9月22日、ヤマト市民体育館前橋(撮影・水野吾郎)

環境は整った!スローガン「翔鶴(しょうかく)」掲げ
夢のB1昇格へ

=撮影・水野吾郎

バスケットボール男子Bリーグ2部(B2)の2019-20シーズンが始まった。昨季、B2準優勝を飾った群馬クレインサンダーズ(以下群馬)は、B1昇格を目指し来年4月までの60試合を戦う。今季、群馬を運営する株式会社群馬プロバスケットボールコミッションは、東証1部上場の「オープンハウス」の完全子会社となったことにより、チームの強化だけでなく環境面も徐々に整備され始めている。先月21日の開幕戦にヤマト市

ゲームコントロールの上手さが光った小淵雅=9月22日、ヤマト市民体育館=撮影・水野吾郎

民体育館前橋を訪れた人は、天井に大型ヴィジョンが設置され、B1レベルの仕様になったのに驚いた人も多かっただろう。また、開幕戦初日に2541人、2日目も1812人の観客を集めるなど、集客力で昨季までとの違いを見せた。選手にかける費用も増額できたことで、ハンガリー代表のロスコ・アレンを補強できたのは大きい。B1昇格に期待がかかる今季のチームについて紹介する。

今季、4試合を終え4勝0敗で東地区1位と好スタートを切った群馬。これまでは選手のサイズ(身長)が高くなかった分、ディフェンスでは相手との身長差から生じるミスマッチが起きることも多く、ダブルチームという、2人で相手選手1人を守るという戦い方をせざるを得なかった。

しかし、今季はサイズの部分で他チームよりも優位に。ロスコ・アレンが208㎝、坂本ジェイとアブドゥーラ・クウソーが206㎝、野口夏来が203㎝と、選手12人中4人が2mを超える。

チームを率いて4季目の平岡ヘッドコーチ=撮影・水野吾郎

平岡富士貴ヘッドコーチ(以下、HC)も、「今季は高さのミスマッチは生じず、オーソドックスな1対1で守ることができる。ディフェンスのシステムの数を少しずつ増やしていこうと思う」と、さらにレベルの高いバスケットを追求していく。

鍵を握るのは、ロスコ・アレン。平岡HCは「チームの求めていることを100%やろうとしてくれるし、ボールを持ち過ぎることはない。日本人選手も活躍できるようにボールを回してくれるし、(ヘルプに来た味方にパスを出さずに無理やりシュートに行くなど)自分勝手なプレーをせずにやってくれる。日本人選手とコミュニケーションをもっと取れるようになれば、チームとしても結果を残せると思う」と評価。

チームの要である小淵雅も、「チームを一段階も二段階もレベルアップさせてくれる選手」と期待する。

今季、東地区でライバルとなりそうなのが、昨季スペイントップリーグでリバウンド王になったニコラス・カナー・メドリーを獲得するなどHCも含め大型補強を行った茨城ロボッツや、bjリーグ時代に琉球ゴールデンキングスを2度優勝させた桶谷大HCの粘り強いバスケットを展開する仙台89ERSあたり。

粘りの仙台に守備で勝つ=9月22日、ヤマト市民体育館=撮影・水野吾郎

群馬が開幕戦を戦った仙台は、その翌週の9月28、29日に茨城から2勝を挙げている。開幕戦で仙台に2戦とも粘り勝ちした群馬は、今季も優勝候補と言ってもいいだろう。

Bリーグが誕生して3年間で、群馬は2度の地区優勝を果たしている。当然、今季も結果を求められることについて平岡HCに尋ねると、「オーナー企業が変わってクラブの環境も変わった。プレッシャーがないわけではないが、やることをやった上で、その先に何が見えるのかのほうが楽しみ。それが(B1)昇格だったらいい」と顔をほころばせた。

昨季はリーグ準優勝を果たしたものの、財政面と集客面でB1ライセンスの基準を満たせずB1昇格を達成できなかった。だが、こうした運営上の問題は解消するだろう。

今季は、チームスローガンの「翔鶴」を掲げ、B1昇格の夢をつかむ。

地区優勝とリーグ優勝ができれば最高! 必ずB1昇格を決める

群馬クレインサンダーズキャプテン 佐藤 文哉

  #14 FUMIYA SATO

昨季に引き続き、今季もクレインサンダーズのキャプテンを務める佐藤文哉選手。昨季の序盤にバラバラになりかけたチームを一つにまとめるなど持ち前のキャプテンシーを発揮し、チームの地区優勝とリーグ準優勝に貢献した。佐藤選手に、今季のチームのことや意気込みについて語ってもらった。

―今季もキャプテンに就任しましたが、昨季はコーチ陣と選手の間に入り、チームをよくまとめていたと聞きました。
選手が思っていることをコーチ陣に伝えたり、逆にコーチ陣の思っていることを選手に伝えたりというのは何回かしましたね。チームは東地区で優勝し、B2リーグで準優勝という結果が出たので、僕自身、そういうことをやれてよかったと思っています。

―新戦力が多く加入しましたが、今季のチームについて教えてください。
若い選手がたくさん入ってきたり、(得点源だった)トーマス・ケネディの抜けた穴にロスコ(・アレン)が入ってきたり、センター陣の選手層の薄さの所には坂本ジェイが入ったりと、とにかく良い選手が加入してくれました。若い選手が多い分、エネルギーにあふれ、運動量もあるので良いバスケットができると思います。ですが、経験が少ない分、戦い方や試合の運び方が分かっていない部分もあるかなと感じますね。なるべく悪い面を無くして、良い面を出していければ、昨季以上の良いチームができると思います。

―9月15日のアーリーカップ・東京八王子ビートレインズ戦では、J3のチームを相手に79-89で敗れましたが、それは悪い面が出た結果だと?
あの試合は一人一人がバラバラになってしまい、ディフェンスで誰かを助ける、ヘルプに行くということができなかったんです。ああいう状況になっても、チームプレーができないといけません。

―チームには、身長2メートルを超える選手(ビッグマン)が4人います。昨季は他チームに比べ高さがなかったですが、今季は高さだけでもチームの武器になりますね。
(ヘッドコーチの)平岡(富士貴)さんも、ガード1人にビッグマン4人を入れたり、ロスコをガードに起用するなど、練習でいろいろ試していますので、チームとしての戦い方の引き出しが多くできつつあると感じます。どんなチームができるのか僕も楽しみですね。

―世界的に見ても、3ポイントシュート(3P)の確率を上げなければ勝てなくなっています。3Pが武器の佐藤選手にも期待がかかります。
毎年、「3Pの確率を40%以上にする」と目標設定をしているのですが、なかなか達成できていないんです。アーリーカップの時も平岡さんに、「チーム全体としてのシュート力がまだまだ足りない」と言われているので、そこは個人はもちろんチームの課題でもあります。

―最後に、今季の目標を教えてください。
チームとしては、B1に昇格。地区優勝とリーグ優勝の両方ができれば最高ですね。個人としては、人一倍声を出してディフェンスを頑張って、オフェンスでは3Pで40%以上の確率を目指していきたい。僕の3Pシュートで会場を盛り上げたいと思っています。

佐藤文哉(さとう・ふみや)

1990年7月4日生まれ、宮城県出身。明成高校から仙台大学に進み、地元の仙台89ERSでプロの道を歩み始めた。2017年にクレインサンダーズに移籍し、昨季からキャプテンを務める。3Pシュートが武器のガードで、背番号は14。後輩思いの優しいキャプテンでもある。身長170㎝・体重73㎏。

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