旗振り当番 [この春、娘が6年生になった…]

この春、娘が小学6年生になった。3歳上の長男から始まった朝の旗振り当番もあと1年。負担に思うこともあるが、子どもたちの顔が見られるこの当番を、私はわりと楽しみにしている。
 
先日、早速今年度初の当番があった。黄色い帽子の1年生が交じった登校班を見守りながら、長男が入学時、毎朝めそめそ泣いていたことを懐かしく思い出した。
 
この旗振りの場所には、去年まで交通指導員のKさんの姿があった。冬休みに入る少し前「明日から検査入院をするからしばらく休むよ」と話があり、そのまま復帰することなくこの春で引退をすると伝え聞いた。1年生が入れば「新入りか」と目を細め、6年生には「大きくなったな」と嬉しそうに声をかけ、文字通り雨の日も雪の日も、保護者と一緒に立ち続けてくれた。8年前、ポロポロと涙をこぼしながら歩く長男を「ほれ、がんばれがんばれ」と励まし、笑顔で背中を押してくれた。
 
40年もの長い間、町内の子どもたちの安全と成長を見守ってくれたKさんには尊敬と感謝の気持ちしかない。私もあと1年、たくさん子どもたちに声をかけよう。昔は嬉しそうに手を振ってくれた我が子は、素っ気ない態度で通り過ぎてゆくけれど。

(塩原亜希子)

 

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