「楽しみながら木や森に親しんでほしい」
日本のカスタネット発祥の地 みなかみで自然保護に貢献
日本で初めて教育用のカスタネットを作ったみなかみの「カスタネット工房」(旧プラス白桜社)で代表を務める冨澤健一さん(74)は、一昨年放送されたNHKの人気番組「チコちゃんに叱られる!」の「カスタネットはなぜ赤と青?」に登場し、一躍注目を集めた。
カスタネットといえば赤と青が一般的だが、実は冨澤さんの父らが開発したもの。かつては同工房がその国内製造を一手に手がけていた。
冨澤さんが近年作っているのは木肌を生かしたカスタネットだ。同町の国有林・赤谷の森の自然保護に取り組む「赤谷プロジェクト」の活動で生まれる間伐材を活用して制作している。使用する木は、サクラ、ブナ、ミズキ、クリなど様々で、仕上がったカスタネットの側面には小さな文字で木の名前が刻まれる。塗装はせずレーザープリントで文字や絵を描くが、特に人気なのはぐんまちゃんの絵柄だという。
「子どもたちに木の名前を覚えてもらいたい」と語る冨澤さんの狙い通り、材料によって木目や色合い、音の響きも異なるため、子どもたちは自然と木の種類に興味を持つ。
材木の入手が困難となったことなどから、一度は廃業した同工房だったが、森の再生を目指す同プロジェクトへの協力を機に、2013年から営業を再開した。カスタネットの売り上げの一部は森の自然保護に役立てられるが、冨澤さんは見学や製作体験も受け入れる。「子どもと遊ぶのが大好き」という冨澤さんは、「楽しみながら木や森に親しんでほしい。ぜひ工房に遊びにきて下さい」と明るい声で呼びかけている。
■見学・体験については冨澤さん(0278-64-0338)へ