歴史を築いた功労者2人が去る

群馬クレインサンダーズ

群馬クレインサンダーズを象徴する平岡富士貴ヘッドコーチ(HC)の退任が今月14日に、大泉町出身選手で8シーズンにわたりクラブに在籍した小淵雅の現役引退が同13日にそれぞれ発表された。クラブは今季、B1昇格、B2優勝を果たし、来季からトップリーグであるB1に舞台を移す。その喜びに沸く中でのニュース。サンダーズの一つの歴史の終わりなのだろう。

平岡富士貴HCが退団
小淵雅が引退

5シーズン前、クラブがbjリーグからB2リーグに移行するに当たり、新たな指揮官として招聘したのが平岡富士貴HCだった。新潟アルビレックスBBや茨城ロボッツで指揮を執り、指導力には定評があった。

サンダーズでは、これまで2度の東地区優勝と、2018―19シーズンにはリーグ準優勝も成し遂げるなど、bj時代に最下位争いをしていたチームを強豪チームに育て上げた。そして今季は、レギュラーシーズンでホーム戦無敗、勝率.912、連勝記録33と、「前人未踏」の記録を作り、東地区優勝、B1昇格、B2優勝も達成した。その平岡HCが今季限りで退団する。

今季、どんな思いでB1昇格を果たしたのだろうか。

「B1昇格が絶対条件でしたし、僕自身の契約が今年までだったので、覚悟の1年でした。よく覚悟と言いますが、契約社会の中でこれだけ結果を出す大変さ、勝つ大変さ、チームや会社が掲げるミッションを達成する大変さを感じたことはありませんでした」と、ファイナル優勝時の会見にこう語った。

5シーズンにわたり、平岡HCと共に戦ってきた小淵雅は、「平岡バスケット」の魅力をこう語る。

「1つのルーズボールに対してあきらめている選手がいたら、それをあきらめさせない厳しさです」

小淵もまた、今季限りで引退する。昨季も引退を口にしていたものの、平岡HCから「次シーズンで最後になるかもしれない。最後もう1年一緒に」と言われ現役続行を決めた。クラブがB1昇格を果たし、B2優勝でシーズンを終えたとき、例年以上に「やり切った」という強い感覚が湧き上がった。

絶対的なポイントガードとして、チームに欠かせない存在だった。しかし、長年にわたる体の酷使が影響し、今季はねん挫などの怪我に悩まされた。プレーオフは痛み止めを打ちながらの出場だった。

B2優勝のセレモニーで、賞金ボードを嬉しそうに掲げた小淵。その時、何を思ったのだろう。

「勝った―!というより、終わった―!って感じでしたね」

B1昇格、B2優勝の重圧から解放された瞬間でもあり、目標を達成し、喜びを爆発させた瞬間でもあった。       (星野志保)

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