芸人、ミュージシャン、俳優、声優など幅広く活躍する金谷ヒデユキさんが、芸人目線で世間を斬ります。不定期連載。
TBS系列「水曜日のダウンタウン」で放送された「芸人解散ドッキリ」ってご覧になりました?
私が所属している浅草漫才協会の師匠方をターゲットに仕掛けられたドッキリ企画。相方にウソの解散話を持ちかけ、それを聞いた相方がどんな反応をするのか? コンビ間の関係性、一緒に歩んで来た歴史、悲喜こもごもが現われる名物ドッキリです。
選ばれた2組のうち「東京丸京平」師匠のドッキリは2人の仲の良さが伺えて「ホッコリした~」「ふたりともカワイイ~」と評判良かったのですが、問題となっているのが「おぼんこぼん」師匠のドッキリ。
仕掛ける側であるはずの「おぼん師匠」が「お前なんで俺が怒ってるか分かるか?」と何故かケンカ腰。「謝れ!」と迫られた「こぼん師匠」の方が「スッキリしましょう」と解散を切り出すという異例の展開。2人の仲の悪さが世界に広まる、ドッキリ史上に残る放送となりました。見てる方がドッキリ!
中でも一番ドッキリしたのは何を隠そうこの私ですよ。おぼん師匠もこぼん師匠も大好きな師匠で、よく飲みに連れていってもらったりしてます。今は仲が悪いって事も知ってるし、昔は今じゃ考えられないくらい仲が良かったって事も聞いてます。だからこの2年くらいずーっと2人を仲直りさせようと裏で動いてたんですよ。おぼんこぼん復興プロジェクトですよ。
こぼん師匠と飲みに行って「おぼんの事は大嫌いやけど漫才はアイツとしか出来ひん」という話を聞けば、おぼん師匠に「こぼん師匠こんな事言ってましたよ」と告げ口。「何言うとんねん」と言いながらもまんざらでもない顔で「しゃーないな。まあ漫才はふたりでひとつやからな」と言うおぼん師匠の言葉を、またこぼん師匠に伝える。それを繰り返してるうちに心なしか舞台上で目を合わせる回数も増え、「あ、今ふたりの目があった!」と舞台袖で興奮しながら見てました。
そんな最中の解散ドッキリ。「あーあ、せっかくの計画が台無しだよー」と心底ガッカリ。ドッキリでガッカリですよ!おぼんこぼんにショボンですよ!
そして「放送後の舞台はどんなだろう?」と出番のない日だったのに浅草の東洋館に出かけて舞台を目撃してきました。
これが圧巻!冒頭から番組をネタにし、「ボクら仲悪いでっせー。今日見ててみ、いっぺんも目合わせへんで」「今日はおしぼり持ってまへん」客席大爆笑。その後もお互いの悪口を言い合い、アドリブのケンカ漫才からスムーズに本ネタに移行。ネタの中にもアドリブが入ったり動きを合わせたり、いつも以上に息ピッタリ。コンビって不思議。雨降って地固まれ!覆水お盆こ盆に返れ!