米国には、聴取者からの寄付のみによって運営されるラジオ局があります。ニュースや政治、文化といった話題の多い、通称「ナショナルパブリックラジオ」。
私のカーステレオから常に流れている局。テレビを持っていない私にとって、世界の情報を入手するための手段です。英語のリスニング能力を高める練習にもなり、まさに一石二鳥。
先日、そこから出演依頼を頂きました。インタビューはもちろん全て英語です。在米歴が長くても、さすがにこれには緊張しました。
2時間にも及ぶ収録の中、アメリカに渡った頃の話や目的、自分の美術作品についての理念から普段の生活に至るまで、様々お話をさせて頂きました。
そんな中、こんな質問が。「他に何か仕事はしていないのか?」 米国とはいえ、プロの美術作家 はそう多くありません。大抵の場合、他で働いています。絵だけで生活するなど想像ができない、と思うようです。
私の場合も駆け出しの頃は大学で教鞭をとっていましたが、もうかれこれ10年以上、絵を描く事だけが生業です。絵が売れれば生活もできるし、描き続けられる。そうでなければ、路頭に迷う。単純な事です。
ではどうやって作品を売るのか? 一般的には、所属している画廊で展覧会を開催し、販売する。個展が成功すれば、新聞や雑誌に掲載され、そこからまた新たなファンが生まれ、作品が美術館や美術収集家の手に渡り、その積み重ねで作家としての履歴、そして価値が見出される、という流れです。
私の作品もまたこのようにして、美術愛好家だけでなく、マイクロソフト社やトヨタを全米に輸入し始めたワイズマン氏の美術財団等、全国各地に所蔵されてきました。
しかし、まだまだ道半ば。ワインと同じで、自分の技術、 画風をじっくりと熟成させているような状況です。鍛錬に鍛錬を重ねたその先で、作品の質が最高潮に達した時に爆発し、世に知れ渡る。そんな未来を望んでいます。