13年目のルーキー
「『日本語のロックバンド』として、Jロックのど真ん中を目指したい」
伊勢崎出身者らで作る5人組ロックバンド「ラッコタワー」が先月17日、日本コロムビア内レーベル「TRIAD」からメジャーデビューを果たした。インディーズバンドとして13年のキャリアを誇る「ベテラン」は現在、メジャーファーストアルバム「非幸福論」を引っ提げ全国ツアーを敢行中。今秋10月24、25日には地元「高崎clubFLEEZ」で、ツアーファイナルを迎える。「13年目のルーキー」を率いるリーダーの塩崎啓示さん(伊勢崎出身)にデビューや最新アルバム、地元群馬のこと、そしてこれからの夢について聞いた。
【ようやく「機が熟した」】
Qデビュー決定時の心境は
「半信半疑というか正直、疑っていた(苦笑)。これまでデビューの話は3度あったが結局、ポシャッてしまったので今回もあまり期待せずにいた。4度目の正直です」
Q今回デビューに至った要因は
「今までダメになった理由を人のせいにしていた。でも、13年にメンバーと音楽プロダクション『アイロックス』を立ち上げてからは「自分たちのせい」というスタンスに変わった。精神的に支えてくれる仲間が増えたことも大きい。13年経てようやく『機が熟した』のでしょう」
Qメジャーとインディーズの違いは
「インディーズの時は宣伝から制作まで全て自分たちでやらなければいけなかったし、そこに美学も誇りも感じていた。でも、メジャーになるとプロモーションやレコーディングに大勢の人が関わるようになる。この人たちの分まで頑張んなきゃというプレッシャーは半端ではない」
Q音作りの上で変化は
「作詞はボーカルの松川、作曲の核はキーボードの真一が担当し、ドラムの重田、ギターの細川、ベース塩崎の5人全員で100にしていく制作スタイルは今まで通りだが、音作りに対する意識はかなり変わった。誰に、何を、どう伝えたいか。好き嫌いに捉われず今まで以上に言葉一つ、1音1音にこだわって仕上げた」
【生き様伝えたい】
Qアルバムのテーマは
「『非幸福論』というタイトルには『不幸から見える幸せ、暗闇から見える光がある』というメッセージを込めた。ネガティブだったりマイナスがあるからこそ、ポジティブに進んでいけるしプラスをより濃く感じることができる。逆説的ですが僕らなりの幸福論や生き様を伝えたい」
Qどんなアルバムに
「果物をタイトルにしたり、アッパーな曲や物凄いどバラードがあったりと、1曲1曲ガラリと表情を変えている。メンバー全員がカッコイイと思えるもの、いわゆる『ザ・ラッコ節』をギュッと詰め込んだ。胸を張って「ベスト・オブ・ラッコタワー」と言える1枚」
【半端ない「群馬愛」】
Q結成のきっかけは
「僕らが高校の時、伊勢崎には多くの高校生バンドが精力的に活動していた。伊勢崎出身者が10人ほど同じ専門学校に進むため上京したが、そこで松川と出会い前身バンドを結成。02年にラッコタワーとしてスタートした」
Q群馬と東京拠点に活動している
「ライブやラジオに出演するため、地元にはしょっちゅう帰ってきている。僕らの『群馬愛』は半端ない(笑)。メジャーデビューしたからといって、今まで応援してくれた人を置いていくことはしたくない。もちろん進化しなければいけないが、今まで通りブレずに群馬と東京で活動し次のステージに皆と一緒に行きたい」
QFM群馬で新番組が始まったが
「ラジオはライブと違う表現力が磨ける場。ディレクターから好きなようにやってと言われている。15分番組だからこそ出来るものに挑戦していき、素のラッコタワーを感じてもらえたらうれしい」
Qロックフェスを主催しているが
「群馬のロックシーンを盛り上げたい、知り合いのバンドを紹介したい、地元バンドの活躍の場を作りたいという思いから始めた。昨年は3日間で4000人、今年は2日間で3000人が集まってくれた」
【目標は武道館ライブ】
Q目指すバンド像は
「結成時からタイトルは全て日本語。『日本語のロックバンド』として、Jロックのど真ん中を目指したい」
Q活動を通して伝えたい事は
「やっぱり諦めないこと。13年やってきて、『継続は力なり』をシミジミ感じている。順風満帆ではなかったし時間もかかったけれど、メジャーデビューできた。『30代の希望の星』と言われることもあるが、僕らの曲を聴いて、それぞれの『幸福論』を見つけて欲しい」
Qこれからの目標は
「やはり武道館ライブ。地元の大スター『BOOWY』が『ライブハウス武道館へようこそ』という名言を残していますが、僕らも『ロックの殿堂』でライブをするのが目標。簡単なことではないが、じっくりと夢をつかみたい」
Qファンへ一言
「13年目のルーキーですが、ロックするのも悪ふざけするのも常に本気で、かっこいい『おにいさん?おじさん?』でいたい。群馬を代表するバンドと言われるように、今まで以上に皆さんの期待を背負って頑張ります。どこまで走り続けられるか分かりませんが、応援よろしくお願いします」
文/中島美江子
写真/高山昌典