「どうしましょう」「交通機関を予約しても大丈夫ですか」。草津白根山の噴火が起きてまもなく、関西や九州に住む友人たちから問い合わせが届きました。私が群馬に赴任した直後から話が持ち上がっていた、草津温泉への旅行を今週予定しています。
スキー訓練中だった自衛官が噴石に襲われ命を落とし、11人が重軽傷を負いました。噴石の飛ぶ映像が、繰り返し流れました。しかも今回の噴火は、以前から警戒されてきた峰でなく、南側の本白根山。数千年の沈黙からの噴火は、専門家を驚かせました。市井の人々が戸惑うのは当然です。
宿泊客のキャンセルは、4日間で計2万人超。私は旅行仲間に告げました。「噴火口から温泉街まで5キロ。大丈夫だと思う。けれど、一人でも不安だったり、ご家族が止めたりするならやめましょう」。
宮崎の友人からまず応答がありました。「新燃岳(霧島山)の時もそうでした。全国から大丈夫かと心配を頂き、風評被害で霧島の温泉は打撃を受けました。熊本地震の時は、熊本だけでなく大分、宮崎の観光にも影響が出ました」。だから、現地に近い私が大丈夫だと言うなら、行きましょうと。若い頃は草津でスキー三昧だったという東京の友人も賛同、熊本からも関西からも参加表明がありました。
「草津温泉は白根山のエネルギーのたまもの」と、旅館の女将さんは朝日新聞の取材に話しています。日本の活火山は111カ所と世界有数。自然への畏怖と恵みを、遠方からの友人たちとかみしめたいと思います。(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)