高崎の和菓子職人・石川久行さんの取材で、「有平糖(あるへいとう)」というお菓子を初めて知った。
撮影では、羽子板の上に干支の和菓子などを丁寧に飾り付けながら、「そばに添えるだけでもチョット良いでしょ? 楽しんで食べてもらえるのが、作り手の一番の喜びですからね」と、ガラスのように光り輝く小さな千代結びの有平糖を添える。すると、そのままでも立派な作品として成立している上品な生菓子に、小さな物語が生まれたような気がして撮影しながらワクワクした。
食べてくれる人の笑顔を思い浮かべながら一つひとつ真心を込め、工夫を凝らす職人。毎回、大小さまざまな話題を集め、紙面に載せる我々新聞の作り手も同じだと感じた。
新春号では、お正月にのんびりと過ごす方々が見ているだけでも楽しくなるような紙面を目指し、干支にまつわる記事を特集した。続々と届く感想を読むと、読者が注目するのは必ずしも大きさに比例しないことに気づく。小さくても丁寧な取材で心を込めて書けば、読み手の心に響くのだ。
有平糖のように小さくてもキラリと光り、読者の皆さんがときめくような紙面づくりに努めたいと思う。本年もよろしくお願いいたします。
(上原道子)