年初め、我が家は高崎芸術劇場の元旦コンサートに出かけた。大友直人氏の指揮で、群響に加え豪華出演者が登場すると新春からいそいそ。
日本を代表するオペラ歌手・森麻季さんの大ファンの夫が、「出来るだけ近くで鑑賞したい」と言い、昨夏の発売開始直後に速攻予約。1階最前列の「かぶりつき」席を確保した。ヨハンシュトラウスやプッチーニなど、新春らしい明るい曲を、下から見上げて楽しんだ。
最前列のおかげで、色々な発見があった。大友さんと言えば、スマートな「貴公子」というイメージが強い。もちろん、指先のわずかな動きから奏でるサウンドは、繊細でエレガントだが、一方で汗を飛ばしながら全身全霊で楽団員をリードする力強さ、迫力に圧倒された。さらに、世界で活躍する大学生バイオリニスト辻彩奈さんや、実力派でありながら可憐な森さん、伸びやかな音色のトロンボーン奏者の中川英二郎さんの3人を、ホストとしてもてなす気遣いも素晴らしく、万能の才を至近距離でじっくり堪能できた。
先日、同劇場の芸術監督に就任した大友さん。演奏だけでなく、その人間的な厚みにも「ブラボー」と拍手を送りたい。今年は、「かぶりつき」が癖になりそうだ。
(谷 桂)