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桐一 12年ぶり県の王者に輝く
健大 追い上げも空しく惜敗
群馬県高校野球大会決勝戦が8月10日、前橋の上毛新聞敷島球場で開催された。新型コロナウイルスの影響で、優勝しても全国大会にはつながらないが、桐生第一と健大高崎が県の頂点を目指し熱戦を繰り広げた。
試合前、健大の青栁博文監督は「桐生第一は投手力、攻撃、どちらもしっかりしている。4~5点の勝負になる」と言えば、桐一の今泉壮介監督も「5点ぐらいは取られるんじゃないかな。ウチは6点取れれば勝機はある」と互いに予想。その展開通り、桐一が6対5で健大高崎を振り切り、12年ぶりに夏の王者に返り咲いた。秋の大会で前橋育英を破って優勝した桐一は、健大を破って夏の大会も制し、二冠を達成した。
2対2で迎えた6回裏、1死満塁のチャンスに、健大のエース下慎之介に12球を投げさせる粘りを見せた6番川端琉真が空振り三振に終わり、2死満塁で7番星野綜汰に打順が回ってきた。「毎日一緒に朝練習をしてきた川端のために、自分がしっかり打って、(ランナーを)還そう」と、下との勝負に臨んだ。チームの決めごとは、「甘い球を初球から打っていこう」。下の得意球であるスライダーを捉えた打球はレフトスタンドに消えた。この星野の公式戦初ホームランで一気に4点を追加した桐一は、健大を2対6と突き放した。
星野に打たれた健大の下は、「あの一球は狙い通り。自信のあるスライダーを投げました。(打たれたのは)星野が良いバッターだったということです。粘り切れなかった」と試合後、あふれる涙を抑えきれなかった。
しかし、昨秋の明治神宮野球大会準優勝の健大も意地を見せた。8回に1点を追加して迎えた9回表、桐一の三番手でマウンドに上がった背番号1の蓼原慎仁に、ショートゴロと空振り三振に打ち取られ、もう後がない状況だったが、8番戸丸秦吾が振り逃げで一塁に進塁。9番の代打・安齋駿斗がライトオーバーのツーベースヒットを放ち、2死二、三塁とチャンスを広げ、1番山畑陸と2番橋本脩生の内野安打で1点を追加。桐一にわずか1点差に詰め寄った。
勢いに乗る健大の攻撃に、「そんなに簡単には優勝できないなと思っていました。そういう(ピンチの)場面は想定していたので、焦る気持ちはなかったです」と冷静さを失わなかった蓼原は、2死一、二塁で迎えた健大の強打者・3番戸澤昂平をファーストゴロに打ち取った。一塁の中島優月がヘッドスライディングで捕球し、ベースカバーに入った蓼原が一塁ベースを踏んでアウトにした瞬間、桐一ナインたちはマウンドに駆け上がり、優勝の喜びを爆発させた。
桐一と健大は、16日に甲子園球場で開催される甲子園高校野球交流試合に出場。桐一が明石商(兵庫)、健大が帯広農(北海道)と対戦する。