2022年は寅年 虎の親子

仲睦まじく寄り添うベンガルタイガーの母子。立っている方が子トラ

インドでのタイガーサファリでは、何度もトラの親子に出会えた。一度だけ生後2~3ヶ月という小さな子供を連れた親子に出会えたが、あとはかなり大きく成長した子供連れだった。トラの子供は、2歳ぐらいまで母親と共に過ごすが、その頃になると子供は親と変わりないぐらい大きく育ち、ちょっと見では、親子の区別はつきにくくなるが、じゃれ合う様子などを見ていると、子供は子供だと区別はつくようになる。

トラの子供の数は1~3頭、通常は単独行動のトラも、子育ての時期はいつも一緒に行動する。お互いがじゃれあったり追いかけっこをしたり、その様子は大きなネコといっても過言ではないほどそっくりである。ジャングルの中のどこであっても、車に乗った人間は敵ではないと学習してきた歴史があることから、出会った途端に逃げ隠れすることもないから、傍らでゆっくり観察することも可能である。

写真の親子連れは、子供はたった1頭だったが、お互いが身体をなめ合ったり、かたわらで見ていても頬笑ましかったが、暫くすると身体を寄せ合うようにして道の上をゆっくりと歩きだした。そのあとを4WDでついていくと、最後には森の中に入って行き、密集した木々の中では、それ以上追うことは不可能で、この日の対面は終わりとなった。そんなに長い時間の観察ではなかったが、過去には毎日サファリに出ても、1週間続けてトラに出会えないことがあったため、トラに出会えただけでもラッキーだと思えた。

よしの・しん

1943年生まれ。桑沢デザイン研究所リビングデザイン科卒業。写真事務所勤務後、1972年フリーランスの写真家になり、日本国内のみならず、世界の野生動物と自然景観を被写体として取材し続けている。主な写真集に「ロッキーの野生」「タイガーオデッセイ」「アラスカの詩」「アクアオデッセイ」、写文集に「ネイチャーフォト入門」「アフリカを行く」「野生のカメラ」「アナログカメラで行こう1・2」などがある。最近は、各種コンテストの審査員としても活躍。(公社)日本写真家協会会員。朝日フォトコン特別審査員

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