祝い酒 [立春を過ぎたとはいえ寒い日が続く…]

立春を過ぎたとはいえ寒い日が続く。冷え込む夜は、体の芯から温まる熱燗に限る。飲むたびに、その美味しさと奥深さに酔いしれているが正直、日本酒についてあまり良く分かっていない。
そんな時に役立つのが、「日本酒完全バイブル」。伊勢崎在住の八田信江さんが監修した入門書で最新版は昨秋発行。既に重版が決まった人気ガイド本で、作り方などの基礎知識から楽しみ方、最近のトレンドまで豊富な写真と図と共に解説している。取り上げている蔵元は全国289、銘柄は385。圧倒的な情報量に加え、監修者が実際に訪れた酒造の魅力を伝える紀行文など読み物も充実。蔵人と編集者の飽くなき探究心に溢れた完全バイブルだ。
同書には群馬の町田酒造店、柳澤酒造、高井、大利根酒造、土田酒造、永井酒造、近藤酒造、分福酒造、島岡酒造も収録。どこも唯一無二の酒を醸す名蔵元だが、個人的に馴染み深いのは柳澤酒造。父親が愛飲していたため、幼い頃から家に常備されていた「桂川」は、甘くトロリとした口当たりが堪らない。
今月、50歳の誕生日を迎える。半世紀という大きな節目、お気に入りの美酒に酔いしれたい。来し方行く末と春の兆しを感じながら飲む祝い酒は、「桂川」のぬる燗と決めている。(中島美江子)

(中島美江子)

掲載内容のコピーはできません。