「こどもたち」の作品と対面して何を思う?

企画展「丸尾康弘展 今、こどもたち」

丸尾康弘《一人の二人のボク(1)》(2020年 撮影:狩野博賢)

彫刻家・丸尾康弘さん(1956年~)は、生まれ故郷である熊本県山鹿市と桐生市にアトリエを構え、季節ごとに両方の地を行き来しながら制作を続けています。今年の2月に渋川市美術館・桑原巨守彫刻美術館にて、「丸尾康弘展 今、こどもたち」を開催。こちらの展覧会を桐生の地にても是非ご覧いただきたいということで、新作を加えて今回の開催に至りました。

丸尾さんは今年の1月の大川美術館企画展「桐生のアーティスト2020」にも出品していただきました。桐生ゆかりの作家8人によるこの企画展で、丸尾さんには、《モリノコ》や《水のかたち》など、「自然」をテーマとした作品を中心に展示していただきましたが、今回のテーマは「こども」です。

東京造形大学で彫刻を学んだ丸尾さんは、佐藤忠良(1912~2011年)に師事。はじめは石彫で抽象作品を制作していましたが、ご自身のこどもが生まれたことをきっかけに家族をモデルとした木彫の坐像を制作するようになります。

今回の企画展でも、息子さんや娘さん、お孫さんをモデルにした作品が展示されています。これらの作品を観た来館者の中には、「こどもたちの優しい表情に癒される」「可愛らしい」と言う方もいれば、「こっちを向いているとドキッとする」「どこか不気味さを感じる」と言う方もいます。あなたは、こどもたちの作品と対面して何を思うでしょうか。ぜひ、展示室で体感して下さい。

また、壁一面に展示されたドローイングは、和紙に墨で描かれています。スマートフォンを持っていたり、落としてしまったり、手で頭に角を作っていたり、座り込んでいたり。色んなしぐさで生き生きとしたエネルギーのあるこどもたち。このドローイングは会期中に順次増えていき、最終的には展示室のすべての壁面を覆う予定です。ぜひ、何度も足を運んで、展示室の変化もお楽しみください。

今回は企画展「広島市現代美術館所蔵作品を中心に Part1:靉光と同時代の仲間たち」との同時開催です。一度に2本の企画展をご覧いただけるこの贅沢な機会に是非、大川美術館へお越しください。

展示風景(撮影:荒関修)

大川美術館 学芸員
池田 寛子 さん

桐生市生まれ。筑波大学芸術専門学群芸術学専攻美術史コース卒業。2018年4月より大川美術館勤務。大川美術館開館30周年記念企画「ベストコレクション」展や各種ワークショップ、大学との連携事業などを担当

■大川美術館(桐生市小曽根町3・69)■0277・46・3300■一般1000円、大高生600円、中小生300円■12月13日まで■午前10~午後5時(入館は午後4時半まで)■月曜休館(月曜祝日の場合は翌日火曜休館)■企画展「広島市現代美術館所蔵作品を中心に Part1:靉光と同時代の仲間たち」を同時開催中(12月13日まで)

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