表情や佇まいに光る職人技 山車人形作り最盛期

高崎・アートこうげつ

山車人形・応神天皇の仕上げ作業を行う人形師

高崎市山名町の「アートこうげつ」では、夏祭りに向け山車人形作りが最盛期を迎えている。職人たちは頭部や胴体に合わせ衣装をチェックするなど、仕上げ作業に追われている。

山名八幡宮の神社前にある人形工房は、老舗人形店「こうげつ人形」(一昨年に閉業)で20年近く修行を積んだ渡邊聖也社長(46)が同じく人形師で父親の泉二会長(76)と2019年に創業。ひな人形や五月人形の製造・販売から、山車人形や山車幕の製造・修理、ちょうちん製造まで幅広く手掛けている。

山車人形作りは1年を通して行っているが、五月人形が一段落する春から夏にかけて本格化。その工程は顔や髪、手足、胴体、衣装、着付けなど分業化されている。

今月は今月中旬に、関東三大祭の一つとして知られる「佐原の大祭」(千葉県香取市)で曳き廻された山車の幕を製作したほか、茨城県土浦市より依頼された、応神天皇の山車人形を約8カ月かけて完成させた。衣装を担当した渡邊恵津子さん(74)と三村信子さん(76)は、「武運の神様として知られているので布選びから刺繍まで、力強さや勇ましさが感じられるようにしました」と話す。一方、手足や胴体を製作した人形師の横内英実さん(69)は、「ほとんど衣装で隠れてしまいますが、リアルさは見えない部分にこそ宿ります。細部に至るまで手を抜くことが出来ないので、神経を遣いましたね」と明かす。

職人の熟練技が光る応神天皇は高さ約2㍍50㌢。威風堂々とした表情や佇まいは見る者を圧倒する。人形の顔や仕上げを担当した泉二会長と聖也社長は「祭りには何十万もの人が来ますから、360度全方位から見た時のバランスを一番に考えました。日本書紀にも登場する応神天皇の勇壮さや威厳さを感じてもらえたら嬉しい」と笑顔で語った。

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