前橋中心市街地老舗旅館跡に白井屋ホテル誕生

馬場川通りに面したグリーンタワー=©Shinya Kigure

街なかの新たなシンボル 「県都の魅力」を発信!
訪れる人の想像力を刺激する場に 明日12日オープン 

多くの芸術家や著名人に愛された老舗旅館「白井屋旅館」の跡地に明日12日、「白井屋ホテル/SHIROIYA HOTEL」(前橋市本町)がオープンする。国内外のクリエイターが手掛けた客室、地元食材などを使った創作料理が味わえるレストラン、緑豊かな吹き抜けのラウンジなどがあり、前橋中心市街地の新たなシンボルとして「県都の魅力」を発信していく。         (中島美江子)

 

白井屋(しろいや)ホテルは国道50号線に面したヘリテージタワー(17室)と、馬場川通り沿いのグリーンタワー(8室)の2棟で構成。日本を代表する建築家・藤本壮介さんが、全体の設計を手掛けた。2棟の外観は独創的かつユニークで、オープン前から道行く人の目を引いている。

 

【唯一無二の存在感】

国道50号線に面したヘリテージタワー

かつての白井屋旅館のコンクリート構造を生かし、大胆にリノベーションしたヘリテージタワーには世界的アーティストや建築デザイナーが関わった客室に加え、誰でも利用できるラウンジとレストランなどがある。4階までを吹き抜けにしたラウンジは、国際的に活躍するレアンドロ・エルリッヒによる光を用いたインスタレーションや植物などに彩られており明るく開放的。1階レストランでは、上州の食文化と食材を生かした創作料理などを提供。タワー正面には著名アーティストによるカラフルな作品が掲げられている。

一方、利根川の旧河川の地形を生かした「土手」を模したグリーンタワーは、新しく建設された。その名の通り、緑に包まれた緩やかな丘に客室やサウナなどが点在。各部屋には、県内を拠点とする白川昌生さんや鬼頭健吾さんのアート作品などが飾られている。

2棟とも細部に至るまで計算しつくされた空間デザインと多彩なアート作品にあふれ、唯一無二の存在感を放っている。

【6年の歳月を経て再生】

江戸時代から300年以上続いた白井屋旅館は、森鴎外や乃木希典など多くの芸術家や著名人に愛された名旅館だ。1970年代にホテル業に転換したが、市街地の衰退と共に2008年に廃業を余儀なくされた。その後、取り壊しの危機に見舞われたものの、2014年に前橋市の活性化活動を主導していた田中仁財団が再生プロジェクトを始動。この取り組みは、同市が官民一体で進める街づくりの象徴的な事業として、構想時から注目を集めていた。

「前橋の街なかを元気にしたい!」という関係者らの熱い思いに、国内外のクリエイターたちが集結。約6年に及ぶ改修などを経て、老舗旅館が「白井屋ホテル/SHIROIYA HOTEL」へと生まれ変わった。

多様な人が集う街なかの交流拠点として、明日12日に開業する白井屋ホテル。矢村功代表は、「地域に暮らす人と訪れる人の想像力を刺激する場、アートや食を通して様々な発見やインスピレーションを与えられる場を目指したい。街なかの新しいシンボルとして前橋の魅力を発信し、地域活性化へ繋げていけたら」と意気込んでいる。

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