モータースポーツ [レーシングドライバー 笹原右京 選手] (Vol.20)

笹川裕昭のスポーツコラム

沼田から世界へ! その名を知らしめろ!

国内はもちろん、世界のレースでも優勝を勝ち取ってもらいたい笹原選手  © Sho Tamura

国内モータースポーツ界では、沼田市出身のレーシングドライバー・笹原右京選手の活躍が話題になっています。

今シーズンは、国内最高峰のフォーミュラレース・スーパーフォーミュラで初優勝を飾り、人気ナンバーワンのスーパーGTでも表彰台を獲得するなど速さを見せています。特に7月17日のスーパーフォーミュラ第6戦では、富士スピードウェイで予選13番手から、レース展開を読み切っての逆転優勝。本人は、「自分の速さとチームの底力を示せた結果」とチーム一丸の勝利を喜びました。また、「最高峰のレースで勝てて、力を証明できたと思う。すごく意味のある1勝」と、単なる勝利ではなく、大きな価値を感じています。

笹原選手が、そこまで感じるのは、ここまでのレース人生が、決して簡単なものではなかったからです。モータースポーツ好きの両親の元、沼田に生まれ育ち、「沼田からF1」を目標に、幼いころからレーシングカートで、世界を舞台に活躍しました。ただ、今のモータースポーツは、自動車メーカーはじめ、スポンサーの大きな支えがないと戦う場所にすらたどり着けないシビアな世界です。笹原選手もそこにいつも苦しんでいました。

そんな笹原選手の活躍を支えてくれたのが、沼田のご両親であり、地域の皆さんでした。本人は、「『沼田』で育ったからこそ、素晴らしいモータースポーツに出会え、支えてくれる方々に出会えた」と感謝し、その期待に応えるため、速さと勝利を重ねてここまでたどり着いたのです。

すでに今年で26歳になる笹原選手。当初からの目標である世界最高峰の自動車レース・F1については、「年齢を考え合わせると、その可能性は少なくなっているかも」と厳しさを口にします。ただ、「チャンスがあれば、つかみたい」と準備は怠りません。

その上で、今は、「世界」を目標にしているという笹原選手。「世界で自分が何番目に速いか、そして、自分の名を世界に知らしめたい。いい意味で国内にとどまることなく、インディカー(北米フォーミュラ最高峰レース)やWEC(世界耐久選手権)など、海外のフィールドで『笹原を使って勝ちに行きたい』と皆に思わせる活躍をしたい」と意気込んでいます。もちろん、そこには、自分を育ててくれた沼田への恩返しの思いも込められているのです。沼田から世界へ! 笹原右京に注目です。

笹川裕昭
Sasagawa hiroaki

1978年3月28日生まれ、埼玉県さいたま市出身、大東文化大卒。ラジオ局エフエム群馬で、アナウンサーとして、スポーツ実況や朝夕のワイド番組に出演。現在は、株式会社フットメディアに所属し、スポーツ実況を中心に県内外で活動。個人サイト「SASAnote」(https://sasanote.net/)を運営し、県内スポーツの情報発信も行う
Twitter:@hiro3sa
Instagram: hiro3sa_insta

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