芸人、ミュージシャン、俳優、声優など幅広く活躍する金谷ヒデユキさんが、芸人目線で世間を斬ります。不定期連載。
久しぶりに関西方面に行って来ました。ピン芸人・寒空はだかさんとの2人旅「はだかのスナフキンツアー」。ツアーと言っても行ったのは名古屋と大阪の2か所のみ。それでもコロナに飲み込まれた今年唯一のツアーという事もあり、名古屋と大阪の皆さんには大変喜んで頂きました。そんなツアーの中で起こった恥ずかしい話です。
「関東と関西の違い」がテーマの時によく話題に上がるのが、「エスカレーターの乗り方」。関東では左側に並んで乗り、急ぐ人のために右側を空けますが、関西では逆。右側に乗り、左側を空けます。最近では「エスカレーターは歩かず止まって乗りましょう」というポスターをよく見かけますが、それが昔から徹底していたのが名古屋です。
ほかにも、マクドナルドの事を関東では「マック」、関西では「マクド」と呼ぶ。関西ではお好み焼きをオカズにして白米を食べる。名古屋では恵方巻の代わりに「ういろう」を一本丸飲みする。最後のはデマですが、土地によって様々な違いがあります。今回のツアーの中でそれを痛感しました。
場所は大阪の地下鉄。ギターを背負い、衣装や着替えの入った大きなバッグを抱え電車に乗り込む私。慣れない土地の電車ゆえ、間違えた路線に乗っていないだろうか?反対方向の電車ではないだろうか?荷物と一緒に不安も抱えながら車内をウロウロ。路線図を探してキョロキョロ。心は不安でボロボロ。
そんな私の姿に、電車内の他のお客さんの視線がジロジロ集まります。「ああ、かわいそやな」「慣れない大阪の地下鉄で戸惑ってんのやろか?」「助けてあげよかな?」そんな優しい心を持った浪花女性たちの視線の数々。しかも若い女性ばかり。ん?この電車ずいぶん女性が多いな?多いっていうかほぼ女性。あれ?なんかピンク色のマークが窓に貼ってあるぞ?何て書いてあるんだ?女?女性?専用?しゃ…?女性専用車両!
やっちまった!あの視線は「何しとんねん!アホンダラ」の視線だったのか!しかしこの時点では、まだ事の重大さに気づいていなかったのです。なぜなら私が住んでいる東京でも女性専用車両はあります。ただ、それが使われるのは通勤ラッシュの混雑時のみ。そして、今乗ってる時刻はお昼過ぎ。確認のためピンク色のマークに再度目をやると、そこにはこんな文字が。「終日」えーっ!大阪って1日中女性専用車両ってあるの?パニック!
ああいう時ってことさらにリアクション大きくなりますね。「間違って乗っちゃったんですよ!いやらしい気持ちで乗った訳じゃないんですよ!」をアピールする気持ちが強すぎて、「あっ!間違えた!しまったー」思わず声が出ちゃいました。大根芝居。余計怪しい。大阪の女性の皆さん。ホントに間違えたんですよ。許してー。