親子で性の話ができる「彩-irodori-保健室」(前橋)を2017年に立ち上げ、養護教諭の経験を活かしながら性教育アドバイザーとして活動をしている。始めたきっかけは、私自身が性暴力被害に遭ったことだ。その時、性の話題がタブーとされる社会では被害を誰にも相談することが出来ず、1人で悩み苦しんだ。そんな経験から、「親子で性の話が出来る関係性の大切さを伝えたい」、「幼児期から正しい知識を学ぶことで、性暴力の被害者も加害者もいない未来を作りたい」という想いで、育児中の父母や教育関係者だけでなく、幼児や小学生も対象にして県内外で講演を続けている。
「性行為教育」と想像されがちの性教育だが、自分と相手の命を守るための教養だ。自分の体は自分で守る防犯意識や愛されて生まれてきたという自己肯定感や生命の尊重、性的同意の必要性、ジェンダー平等、性の多様性など幅が広い。人と人とがコミュニケーションをとる上で必要不可欠な知識である。
しかし、現在の学校教育では、学習指導要領での歯止め規制により、積極的に性教育を進めることができず、性交や避妊についてきちんと学ぶ機会がない。日本の性教育は、世界的に見てかなり遅れており、これでは望まない妊娠や、少子化が加速していくのも当然なのである。
インターネットで簡単に情報を入手した子どもに、「赤ちゃんってどこから来るの?」と突然の問いかけに、言葉を詰まらせた経験はないだろうか?
まずは大人が、正しくポジティブな性教育の知識や意識をアップデートすることで、子ども達が安心して生きていける未来を共に作っていけると信じている。