バスケに真摯に向き合う姿勢が、チームを成長させる
バスケットボール選手としてさらに成長したいと、沖縄からサンダーズに移籍してきた並里成。ファンタジスタと言われるプレーでチームを引っ張り、リーグ終盤までの東地区3位に貢献。人気、実力ともサンダーズに欠かせない並里を紹介しよう。 (星野志保)
今季、群馬クレインサンダーズに加入した並里成を取材して思うのは、「この人は本当にバスケが好きなんだな」ということだ。
ホーム戦後の記者会見で取材陣から呼ばれる回数が多かった並里は、会見の席に着くと、すぐに机に置かれた公式記録に目を通し、会見が終わった後もしばらく記録を見て何かを考えている。この光景がいつものパターン。
4月22日の逆転負けを喫した千葉ジェッツ戦後、会見の席に着くなり公式記録に目を落とすと、「いつも同じ負け方」とボソッとつぶやいた。そして会見では、試合終了間際の9・9秒のプレーに対し、「もっとシンプルにプレーした方がよかった」と悔やんだ。
ときには辛辣な発言もあるが、歯に衣着せぬ言葉からも、並里が真剣にバスケに向き合い、チームを良くしたいと思っていることが伝わる。
そんな並里を若手選手も慕う。特にプロ2年目の菅原暉(てる)は、「バスケット全体のスキルが全部高く、トップレベルのスキルを持っているのはすごいと思います。アシストの部分やピックアンドロール(オフェンスの戦術の一つ)の使い方は特に意識して見ていますが、視野の広さはちょっと真似できないです」と刺激を受ける。
4月15日にオープンハウスアリーナ太田でこけら落としの試合が開催されたが、並里もまたこの新アリーナでプレーする日を楽しみにしていた一人。
「小さな頃からいろんなことを犠牲にして、つらいことも多かったんですが、その分、我慢して乗り越えてやってきたので、感謝の気持ちを持ってあのコートに立ちたいと思います。ワクワクしますね」と、新アリーナの完成が目前に迫った2月27日にこう話してくれた。
15日のオープニングゲームでは、昨季のBリーグ王者・宇都宮ブレックスを激戦の末に破り、勝利の喜びを爆発させていた。彼がチームメイトに力や刺激を与え、チームを成長させていく存在なのは間違いないだろう。
「昨日の自分に勝つ」を胸に、今年34歳になるベテランの成長ストーリーはこれからも続く。