医療器具や蘭学書など147点紹介
江戸時代の蘭学者・高野長英が吾妻地域に広めた、当時の先端医療を紹介する企画展「江戸時代の先端医療 特別編~高野長英の門下生と支援者たちの物語」が、中之条町歴史と民俗の博物館ミュゼで開催中。6月までの予定だった会期を、好評につき2カ月延長。8月20日まで開催している。
高野長英(1804~50年)は、江戸後期の医師で蘭学者。長崎でシーボルトに学び門弟となった。31年、福田宗禎を中心とする吾妻の医師達が、西洋医学を学ぶため、師として長英を招いたことで、吾妻で蘭学が盛隆。髙橋景作や湯本俊斎ら、多くの門下生を輩出した。長英が、幕府の対外政策を批判し収監されるも脱獄、逃亡生活を送った際には、その門下生の多くが、中之条付近に潜伏した長英を庇護したと伝わる。
企画展では、長英の教えを受けた当時の医師が使った医療器具や、蘭学書、オランダ語翻訳に使われた辞書など147点を紹介=写真。長英が隠れ住んだ湯本家の「長英の間」の写真なども展示されている。同館の担当者は「種痘の医具とワクチンの展示などは、今の時代に興味深いものではないでしょうか」と話す。入館料200円ほか。木曜休館。同館( 0279-75-1922 )。
朝ドラで話題“牧野博士”鑑定の薬草標本 ロビー特別展示中
企画展の関連展示としてして、同館ロビーで、江戸時代の薬草標本80種を展示中=写真。NHK連続テレビ小説「らんまん」のモデルとなった植物学者・牧野富太郎(1862~1957)が鑑定したもので、こちらも人気を集めている。10月9日まで。
標本は、長英が隠れ住んだとされる湯本家(中之条町赤岩)の医師・湯本明敬が、薬草研究のため採集した約200年前のもの。1952年に、依頼を受けた牧野博士が鑑定。その正確さを絶賛したとされている。そのほか、牧野博士が湯本家に宛てた直筆の葉書も展示している。