国指定史跡 金山城跡(かなやまじょうあと)(vol.41)

史跡に指定された県内の貴重な遺跡や古墳などを担当者が紹介

1934年12月28日指定、2002年9月20日追加指定

復元された戦国期の山城 迫力を体感して

復元整備された大手虎口(太田市教育委員会提供)

金山丘陵は、自然と歴史が豊かな太田市のシンボルとして市民から愛されています。この金山には、戦国時代に金山城という山城がありました。

金山城は、1469(文明元)年に新田氏一族の岩松家純が築城しました。当時の太田地域は、南と北に隣接する利根川と渡良瀬川に渡河点(河川を渡るのに適した場所)を有していたほか、古代の東山道駅路や、中世の東道(あづまみち)、鎌倉街道が通ることから、交通の要衝でした。それらに加え、関東平野を見渡すことができる好立地であったことから、金山に山城が造られたと考えられます。

その後、下剋上によって岩松家の家宰(家長に代わって家事を取りしきる人)である横瀬氏(後の由良氏)が実質的な城主となり全盛期を迎えました。武田氏・上杉氏・小田原北条氏などの有力戦国大名の攻撃に幾度も耐えましたが、最期は小田原北条氏の配下となり城は接収されました。戦では落城しなかった金山城でしたが、1590(天正18)年の小田原合戦で小田原北条氏が豊臣方に敗れたのち廃城となりました。

金山で採れる凝灰岩を使って積んだ石垣や、攻められにくく、それでいて守りやすい、巧妙に造られた通路、長期間の籠城に備えるために造られた池や井戸などが発掘調査成果をもとに復元整備されており、戦国期の山城の迫力を現地で楽しむことができます。

また、ふもとには、金山や金山城の自然や歴史について学ぶことができるガイダンス施設がありますので、ぜひお立ち寄りください。

史跡金山城跡ガイダンス施設外観。建築家・隈研吾氏による設計で、外壁には金山城の石垣をイメージした石板が配置されている(太田市教育委員会提供)

太田市教育委員会 文化財課史跡整備係 
中村 渉 さん

きてみて
国指定史跡「金山城跡」/太田市金山町40-106ほか/
問い合わせ:同市教育委員会文化財課(0276-20-7090)
※太田市立史跡金山城跡ガイダンス施設(太田市金山町40-30、0276-25-1067)は入館無料。利用時間は午前9~午後5時(入館受付は同4時半)、月曜(月曜休日の場合は翌日)と年末年始(12月29日~1月3日)休館

掲載内容のコピーはできません。