「がんを予防する方法はないですか」「がん=怖い、というイメージですが……」。検診で乳がん疑いを指摘されたこともある若い女優が、がんを知ろうと専門医や看護師、がん経験者ら15人を訪ねる様子を記録した映画が、2月2日から東京で公開されます。
4日は「世界対がんデー」。前後には、この映画「がんになる前に知っておくこと」以外も、様々な催しがあります。日本対がん協会と朝日新聞は「ネクストリボン・シンポジウム」を開催。「キャンサー・エックス」という有志企画は、11時間にわたる大イベントです。
主催が違っても、目指す理念は同じ。「がんをよく知り、正しい情報をもとに治療法を選ぶ。がんと共存しながら、自分らしく生きられる社会をつくる」。年100万人ががんになる時代。医学の進歩で、がんを持って生きる人が増えています。
けれど、私たちの備えは不十分です。とくに最初。疑いがわかり、検査を経て診断を受けるとすぐに治療方針が示され、多くの決断を一気に迫られます。仕事や家庭も心配なのに……。そんな混乱を示すかのように、厚労省研究班の調査によると、診断後に勤め人の3割が辞職していました。がんになる人の3分の1は働く世代です。
映画でナビゲーター役を務める女優の鳴神綾香さんは、撮影後の感想をこう述べます。「がんのイメージが変わった」「がんになったら終わり、じゃない」「若い人も他人事じゃない」。なぜそう思うようになったのか。今春予定される前橋上映で、確かめてみようと思います。
(朝日新聞社前橋総局長 岡本峰子)