国立演芸場の花形演芸大賞銀賞を受賞 こばやし流の初代家元として、全国回ります!

音まね芸人
こばやし けん太 さん

音まねをするこばやしけん太さん。出演している寄席「東洋館」の舞台で

「ジージー、ピーピピピッ」など電動ひげそりや時計のアラームなどの音を声でまねする前橋市出身の「音まね」芸人、こばやしけん太さん(45)。単発の芸だけではなく、手作り紙芝居も使って「サラリーマン」や「学生」に扮してパフォーマンスする。令和4年度の国立演芸場花形演芸大賞で銀賞を受賞。バラエティ番組「笑点」に出演するなど、愉快で親しみやすいのに、誰にもできない芸が子どもから年配者までを笑いの渦に巻き込んでいる。こばやしさんに、受賞の喜びや今後の意気込みをインタビューした。      (谷 桂)

我流で音まね芸編み出す

― 音まねとはどういうことをするのですか?
音まねとは、音のモノマネです。「ジーーーー」という電動ひげそりの音や「カチカチ」というパソコンのマウスの音は、機器を鳴らすのではなく、口から音を出してマネしています。単発芸だけではなく、連続したものもあります。例えば「とあるサラリーマンの一日」バージョンなら、時計のアラームから始まって、歩く音、電車の音、パソコンのキーボードの音など、全部口から発しています。ストーリー入れて演じ、笑いを取るコントになっています。いろいろな音をまとめて、寄席では、15分くらい舞台に立ちます。これ完全な我流なんですよ。

昔、友達の前で、電動ひげそりの音をやったら、「すごいよ。モノマネのオーディションあるからさ、やってみたら」と言われたのをきっかけに始めました。

― 花形演芸大賞で銀賞を受賞しました
花形演芸大賞は、落語や講談、色物など日本の芸術文化振興のため、国立演芸場が授与する賞で、入賞すると演芸場のレギュラー出演者になれるんです。ふいに電話があって「花形演芸会に出ませんか」と聞かれ、思わずうれしくて「ありがとうございます」と答えました。受賞によって「この芸をやってていいんだ」という自信になりました。

その流れで、あこがれの長寿番組「笑点」にも出演できました。いつも浅草の演芸場「東洋館」に出演しているので、その芸を凝縮させて臨みました。いろんな方から声をかけてもらい大きな反響があって、びっくりです。今度は、「徹子の部屋」に出られたらいいですね。

― そもそも、この世界に入ったのはなぜですか?
思い返せば、前橋の桃瀬小学校の時に、「鶴の恩返し」を一人ずつ読む授業があって。めっちゃくちゃ気持ちを込めて読んだら、もう、みんなから拍手が来た。「こういうの向いてるんだな」とちょっと思ったんですよ。少年サッカーもやっていましたが、こちらは全然才能がなかったですね。前橋南高校の時は、演劇部にハマっていました。人を笑わせることが好きだった。「俳優とかお笑いになれたらいいな」と次第に思いました。

進学した日本映画学校では、漫才師の内海好江師匠にもアドバイスをもらいながらお笑いを教えてもらい、卒業後は「きぐるみピエロ」というユニットで活動した後、ピン芸人となりました。

― 苦しかったこともありましたか?
ピン芸人として独立したばかりの頃は、ネタ尺が3分から5分のお笑いライブばかり出ていました。その後に出演した寄席では15分間演芸しないといけないから、結局は5分しかない中身を、水増ししてやっていました。出始めのあの頃が一番きつかったですね。ネタが全然思い浮かばなくて。いまも、ネタが思い浮かぶことが、一番の幸せです。

紙芝居で夢広がる

― 紙芝居を使っていますね。
例えば「ブーーーン」という音が取っ掛かりとしてあっても、それにストーリーやコントを加えて仕上げていくのが難しかった。そこで、「紙芝居をして、セリフの代わりに音まねを入れれば芸になるかもしれない」と思い付きました。YouTubeやTikTokなどSNSでも発信しながら、最近は、寄席でも試したりして、様々な芸を磨いています。

― 子ども向けにも披露しているとか
奥さんもアキリーヌ・フランソワーズというモノマネタレントで、6歳と4歳の子どもがいます。昨年、子どもの保育園の園長先生が「こばやしさん、今度の七夕集会で何かやってね」とオファーしてくれました。「大丈夫ですよ」と気軽に答えたんですが、よく考えたら、ひげそりやマウスの音なんて大人向け。音まねだけでは子どもには伝わらないかもしれないと、本格的にブラッシュアップして「手作り紙芝居」を導入しました。飛行機や赤ちゃん、ドラゴン退治といった「音まね紙芝居」を演じたら、園児もウケてくれました。芸の幅が広がったのは、園長先生と子どもたちのおかげです。

― 夢は何ですか?
うちの子どもにも芸を教えて、奥さんのアキリーヌと4人一緒に全国を回りたいですね。お客さんと、もっともっとコミュニケーションとって、路上パフォーマンスもしたいと思っております。

実は、自分のことを「こばやし流・音まね師初代家元」ってふざけて言ってるんです。自分が初代だから、下の子に「お前が2代目だよ」といってある。細かいことを気にしない性格だし、踊るのが大好きで、芸の筋がいいんです。上の子は、数字に強くて計算ができるからCEOに就任させようかな。もちろん、冗談なんですけどね。

でも国から賞をもらったから、現実的にいけるかもなって、思い始めています。だから、家族一緒になって、もっともっと芸を磨いていきたい。それが夢なんです。皆さん、全国公演で近くに寄ったときは遊びに来てくださいね。よろしくお願い致します。

妹の佐藤麻美さん(マニアッカーズデザイン)が描いたこばやしさんのイメージイラスト

■今後の予定
31日東洋館(浅草六区交番前、03-3841-6631)で、「スペシャル寄席2023」に出演。開演午後12時半、一般3000円。※こばやしさんの出演時刻は、午後3時55分前後の予定

YouTube「こばやしけん太のビックリアイテム」

@kobayashikenta
※QRコードから、こばやしさんの動画が見られます。

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■こばやし・けんた
前橋市出身の「音まね」芸人。令和4年度国立演芸場 花形演芸大賞銀賞受賞。お笑い芸人として、音まね名人としてテレビ、ラジオ、ライブ、寄席などで活動中。その他、漫談、マジック、紙芝居、バルーンなども取り入れたパフォーマンスで子どもから年配者までが楽しめる幅広く芸を披露。テレビCM(世田谷自然食品など)、イベントMC、司会もこなす。出演番組には、笑点(日本テレビ)やひるおび~世界に通じる日本が誇るパフォーマー~(TBS)、欽ちゃんの仮装大賞(日本テレビ)など多数。桃瀬小―前橋五中―前橋南高―日本映画学校。

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