ついこの前までは「寒い寒い」と言いながら、野菜たっぷりの鍋をハフハフ食べていたのに、3月になったら、急に春を味わいたくなった。満開の河津桜を見ながら深呼吸して桜餅を味わう。道明寺もうす皮の長命寺も両方おいしい。新しい季節がやってきた。
15年前の春、朝日ぐんまに入社できて、様々な「人」に出会った。会社スタッフもだが、取材ではさらに個性的で魅力あふれる人がいた。群馬には、いろんな町があり、そこに住む思いのある人々がいる。学校や事業所、お店、音楽やアートの場所にも、高校野球などアマチュアスポーツやプロスポーツも、取材先には、必ず輝いている人がいた。未来を作り上げていくポジティブな人、素敵なスポットをアテンドしてくれる熱意ある人など、一人ひとりの笑顔が浮かぶ。話を、夢中で書き取って、記事や広告にして、読者と結び付ける日々だった。
40年前に創刊して、みなさまのおかげでここまで飛行してきた朝日ぐんまは、間もなく着陸する。読者のみなさまからは、メッセージが続々と寄せられ、泣きそうだ。こんなにも繋がっていたんだと改めて実感し、寂しいはずなのに、うれしくてしかたない。人の思いを綴った上州日和は、これで最後です。今まで、ありがとうございました。
(谷 桂)