先月開かれた第75回上毛かるた競技県大会の開会式に参列しました。コロナ禍で2年間の中止をはさみ、昨年は規模を縮小して復活、今年は4年ぶりに従来通りの総当たり方式で実施されました。各地区を勝ち抜いた小中学生約280人が出場。私も子ども会のかるた大会に出たことありますが、あっさり敗れました。県大会出場者の素早い動きを見て「こりゃ出られるわけないな」と思いました。
地元の歴史や名所、偉人などを詠んだ「郷土かるた」。上毛かるたの群馬県に次いで競技大会が盛んなのが、お隣の埼玉県だそうです。10日に「彩の国21世紀郷土かるた県大会」が開催されます。鳥取でもご当地かるた「とっとりかるた」ができました。
朝日新聞データベースで調べると、東京の「吉祥寺かるた」など各地でご当地かるたができているようです。上毛かるたに「耶馬溪しのぐ吾妻峡」がありますが、ご当地の大分県中津市では、耶馬渓の情景を俳句と短歌、風景画で表現した「耶馬渓歌留多」があります。私は33年間も群馬を離れ、関西、広島、東京で暮らしていましたが、とはいえ、郷土かるたが定着している地域は、さほど多くないと思います。
朝日新聞で「こちら北関東総局」を連載している井田ヒロトさんの人気漫画「お前はまだグンマを知らない」で、登場人物が「我々には余所者をあぶり出す常の方法があるじゃないか」「『上毛かるた』だ!」と宣言する場面があります。当然、私も全部そらんじることできると思っていましたが、先日、飲食店の主人と上毛かるたの話となり、突然、「に」の札を尋ねられ、即答できませんでした。かの有名な、世界遺産なのに。修行し直そうと反省しきりです。
(朝日新聞前橋総局長 八木 正則)