普段の群響とは違う一面を楽しんで

音楽や芸術など公演の見どころを主催者が答えるコラム(不定期掲載)

「新しい仲間と演奏したい」 群響の楽団員プロデュース!
オーケストラの「室内楽」を高崎芸術劇場 音楽ホールで

左から 出演する群響ヴァイオリンの筒井志帆、杉山和駿、松本花菜、塩加井ななみ。ヴィオラの田岡幸子、太田玲奈。チェロの松本恒瑛、プロデュースする坂菜々子(敬称略)

―室内楽演奏会とは?
上野喜浩:コロナ禍でオーケストラとしての公演開催がままならない中、少しでも音楽に触れてもらう機会を作りたいと2019年にスタートしました。今年度から楽員の自主性を尊重した「楽員プロデューサー制」を導入し、出演者や曲目の決定、広報など、1人の楽員が責任を持った公演としました。それにより演奏だけでなく、「演奏者」と「聴衆」、両方の立場を考えた「良い音楽」を提供できる場となるよう工夫しています。スポーツに例えるならチーム(=群響)のファンが、さらに個々の選手(=楽団員)のファンになってもらいたいと思っています。

―11月19日はチェロの坂(バン)菜々子さんがプロデュースですね
坂菜々子:いつも一緒に演奏しているオーケストラのメンバーによる小さな編成で演奏したいとずっと思っていました。室内楽で一緒に音楽を作ることは、オーケストラでの演奏にも良い影響があるばず。さらに今回は新しく私たちの仲間となった2人(ヴァイオリンの塩加井ななみさんと杉山和駿さん)と一緒に演奏し、皆様に紹介したいと考えました。

―曲目について教えてください
坂:まず演奏するシューベルトの「弦楽五重奏曲作品163」は、シューベルトの死の2カ月前に作曲されました。演奏時間も長い大曲で、シューベルトは死を予感していただろうと思います。人生を感じる私の大好きな曲の一つです。プロコフィエフの「2つのヴァイオリンのためのソナタ」は、新入団員の2人が演奏します。これから長く群響のメンバーとして活躍する新しい仲間を紹介したいと選びました。最後のメンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲」は、ヴァイオリン4人、ヴィオラ、チェロが各2人と華やかな曲です。16歳で作曲された若々しく勢いのある音楽です。プロデューサー権限で、私の大好きな曲ばかりになりました(笑)。

―見どころ、聴きどころは?
坂:「小さな編成」「小さな空間」で演奏することにより、演奏者の息づかいを感じていただき、普段の群響とは違う一面をぜひ楽しんでいただきたいです。
上野:クラシックのコンサートは元々、「室内楽」からスタートしました。かつて作曲家は、その日に集まる演奏者の数やメンバーの実力によって音楽を作曲したそうです。楽団員一人ひとりの個性によって生まれた音楽を、日本有数の優れた音響の高崎芸術劇場・音楽ホールでお楽しみください。

群馬交響楽団 音楽主幹 上野 喜浩さん
1968年東京都出身。すみだトリフォニーホールチーフ・プロデューサー、京都市交響楽団を経て、2022年4月から群馬交響楽団音楽主幹。高崎市在住。

群馬交響楽団 チェロ奏者 坂 菜々子さん
武蔵野音楽大学卒業。桐朋学園大学研究科修了。ハンガリー国立リスト音楽院留学。2001年〜08年札幌交響楽団に在籍。現在群馬交響楽団チェロ奏者。

■群馬交響楽団 室内楽演奏会2022 Vol.7 坂菜々子プロデュース「霜月の弦響~新しい仲間とともに~」
11月19日午後3時開演(同2時15分開場)高崎芸術劇場音楽ホール 全席指定3000円
※未就学児入場不可。
チケット専用電話( 027-322-4944 平日午前10~午後6時)。
群響オンラインチケットサービス: https://yyk1.ka-ruku.com/gunkyo-s/

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