ネッツ高崎社長賞は前橋工業高1年の小池さん、
学校賞は高崎北高に
第7回朝日中学生高校生フォトコン(群馬県朝日新聞グループ会、ネッツトヨタ高崎主催、全日本写真連盟群馬県本部共催)の審査が昨年12月に行われ、フォトコン最高賞の大賞朝日新聞社賞に新島学園高3年の楠本文さん(18)「陰陽」が輝いた。
ネッツトヨタ高崎社長賞には前橋工業高1年の小池美心さん(16)「熱鉄を飲む」、特別審査員の吉野信賞は前橋工業高2年の黒田あかりさん(17)「桜の花が散る前」、特別審査員の清水哲朗賞は前橋工業高2年の佐藤優月さん(17)「意気投合」、朝日新聞社前橋総局長賞には高崎北高1年の佐藤穂果さん(16)「困知勉行千手観音」が選ばれた。なお、学校賞は入賞数最多の高崎北高が初めての受賞となった。
第7回目のフォトコンは、高校24校251人から962点、中学3校18人から43点、応募総数1005点に上り、269人の中高生から作品が寄せられた。
昨年末、朝日新聞東京本社(中央区)、ネッツトヨタ高崎本社、朝日ぐんまの3会場で行われた審査会。今年初めて審査に立ち会った特別審査員の吉野信さんは、「学園生活を切り取ったスナップからコンセプチュアルな写真まで、バラエティ豊かで完成度も高い。モデルが友だち同士っていうのも見ていて楽しいですね」と話す。同じく、初審査に臨んだ特別審査員の清水哲朗さんも、「全国の学生コンテストを見ているが、高校生の作品は流行に流されやすい傾向にある。そんな中、群馬県の学生は逆に流行を創り出している作品が多く頼もしい。ここ数年、群馬旋風が巻き起こっているのを感じますね」と興奮気味に語った。一方、ネッツトヨタ高崎営業本部で審査を行った神尾岳志専務は「大人顔負けの力作が多く、被写体も撮られ慣れているのか自信に満ちています。泥臭いけれど爽やか。若い人ならではの発想に感動を覚えますね」と笑顔で語った。
※受賞者の年齢は応募時
大賞 朝日新聞社賞「 陰陽 」
新島学園高3年
楠本 文 さん (18)
講評
作者とモデルの呼吸がピタリと合い、高校生を超えた「感性」が光る秀作に
朝日新聞東京本社 映像報道部長 加藤丈朗
一目見ただけで引き込まれました。何といってもモデルの目力が凄い。シャドウ部が黒つぶれしていなくて、黒板やドアといった教室の雰囲気やディテールがわずかに残っているところも良いですね。自然光を見事に活かしたポートレートで、「あっ、綺麗だな」と感じた、その一瞬を逃さずに撮れたことが正解だったのはないでしょうか。
露出もきちっと考えていますよね。光が当たっていますが、絞り込まずにちゃんと撮っています。光の良さ、モデルの表情の良さ、そして画面構成の良さが、観る人を惹きつけてやまないのでしょう。そして、モデルの子が、「撮られにいっている」ようにも見えます。作者とモデルの呼吸がピタリと合っていて、高校生を超えた「感性」が光る秀作になっています。
ネッツトヨタ高崎社長賞 「 熱鉄を飲む 」
前橋工業高1年
小池 美心 さん (16)
講評
細部にまで伝わる緊張感
ネッツトヨタ高崎 専務取締役 神尾岳志
今年度は運動部が活動を再開し、応援団にカメラを向けた作品が多数ありました。試合中の応援に奮闘する姿を描くものが多い中、終了後を撮った本作からは、逆にほとばしる熱いものを感じました。刈り込んだ髪の一本一本にまで緊張感が伝わっています。熱鉄を飲むという題。試合に負けたのでしょう。感極まった人も茫然自失の人もあり、その場の雰囲気がよく伝わります。中高生の作品は大人顔負けの力作が多く、また若い世代ならではの発想もあり、新鮮な驚きを感じます。これからも工夫を重ね、素晴らしい作品を見せてください。
吉野信賞 「桜の花が散る前」
前橋工業高2年
黒田 あかり さん (17)
講評
品があり嫌味がないのが良い
写真家 吉野 信
タイトル通り、満開の桜の下を一組の高校生カップルが歩いています。女子高生はスマートフォンをいじっていて、男子高校生は彼女に寄り添いながら自転車を押しています。2人は、どんなことを語り合っているのでしょう。品があり、嫌味がないのが良いですね。縦位置で狙ったこの構図、プリント一つにしても大人顔負けのクオリティ。紺色の制服がワンポイントになっていて、とっても雰囲気の良い作品になっていますね。
清水哲朗賞 「意気投合」
前橋工業高2年
佐藤 優月 さん (17)
講評
生徒に解放感と力強さ感じる
写真家 清水哲朗
部活動再開で、練習に取り組む野球部員たち。いい雰囲気ですね。自分にも高校生の娘がいるのですごく響きます。制約から解放され「何かやれる」という強さが伝わってきます。本作は場面の切り取り方も優れていますが、それよりも訴えてくるものがあります。皆が本気。大人が子供たちの行動を止めてはいけないと気づかされます。真剣な表情の生徒もいる一方で、にこやかな表情もある。そんな様子が混ざっているところも魅力です。
朝日新聞社前橋総局長賞 「困知勉行千手観音」
高崎北高1年
佐藤 穂果 さん (16)
講評
高校生ならではの一枚
朝日新聞社前橋総局長 宮嶋加菜子
赤い問題集がびっしりと並ぶ教室で、勉強に取り組む生徒。願いを叶えてくれるのか、千手観音の手には、電卓、物差し、参考書などが握られています。細部まできっちりと作りこんであるのが面白いですね。撮影者と友達との関係性がよく分かります。「何を持ったらいい?ポーズはどうする?」と、生徒同士でワイワイ言いながら、協力して作り上げたのでしょう。青春真っただ中の高校生が楽しみながらチャレンジする力を写真から感じました。