怖いけれど見たい!毒のある生きものたちの世界

「毒のある生きもの大図鑑 」

標本や画像など約820点が並ぶ展示会場

現在、当館では企画展「毒のある生きもの大図鑑」を開催しています。「毒のある生きもの」といえば、何を思い浮かべますか? ヘビ、きのこ、ムカデ…これらの標本や画像など約820点を展示しています。中でも体長30㌢を越えるペルビアンジャイアントオオムカデを始め、今展でしか見られない生体展示が約40種も登場し、見どころ満載です。さらに、スタンプラリーや人気投票などの室内イベントも充実しており、小さなお子さんも楽しめる内容となっています。

そもそも、毒のある生きものがもつ毒は、何に役立っているのでしょうか? それは、主に「捕食」や「防御」の場面で役立っています。餌となる獲物を捕まえて毒を注入し、獲物を弱らせてから食べたり、外敵に食べられないように毒で身を守ったりしています。このように、自然界で生き抜くために毒を役立てているのです。

毒のある生きものは、好き好んで人間を襲うことはありません。たまたま、私たちが彼らの生活の場に足を踏み入れてしまうことで、被害にあってしまうのです。主に「刺される」「咬まれる」「食中毒になる」「体外へ出された毒に触れる」の4つの状況において被害にあうことが考えられます。今展では、この4つに関連する生きものをそれぞれ紹介し、さらに「食」「薬」としての関わり方についても紹介しています。

いつか被害にあうかもしれないと考えると、毒のある生きものはとても怖い存在ですが、不思議と興味をそそられます。今展を通して、単に怖いと感じていた毒のある生きものを、新たな視点で捉えることができるかもしれません。怖いけれど見たくなる、毒のある生きものたちの世界を、存分にお楽しみください。

「ペルビアンジャイアントオオムカデ」の生体展示

県立自然史博物館 生物研究係
伊藤 智史 さん

80年生まれ。富岡市立南中学校、藤岡市立北中学校の教諭を経て、2017年度より群馬県立自然史博物館に勤務。博物館では主に菌類を担当し、博物館周辺でのきのこの観察会を定期的に行っている

県立自然史博物館(富岡市上黒岩1674-1)■ 0274-60-1200 ■5月28日まで■午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)■月曜休館■一般800円、大高生450円、中学生以下無料■5月21日午後1時半からリモート講演会

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