全員参加型「食農活動」の展開を目指して(vol.204)

学校給食用の食材「にんじん」を、地域の子どもたちや保護者、大学生らが自ら播種・栽培・収穫し、給食で美味しく食べました

NPO法人ラッポルティは、高崎市内のほ場で安心・安全な野菜作りを目的に2019年より活動を開始した団体です。

何故「野菜作り」をしたのか。それはある時、若い親子の会話を聞いたからです。小さな子どもが「ママ、トマトはいつでも食べられるネ。お店で作っているから」と言い、ママも「そうだネ」と答えていました。

また、子育てをしていく中で、野菜嫌いの子どもたちがとても多いこと、そして、「食べたくないから」と食べずに捨てられる食材の多さを知り、愕然としました。

物が豊かで、あふれている時代。生きるための命の根源である「食」に対する認識がこれほど危機的であったとは。心配になった私は、青山正昭事務局長と共に賛同者を集めました。そして野菜が育つまでの過程―播種・管理・収穫までを親子で楽しく体験しながら、本来の「旬」「美味しさ」「野菜の成り立ち」を正しく伝える活動を始めました。

また、自然環境の厳しさや害虫駆除など、日頃学ばないことも体験させたりして、自ら栽培した旬の野菜を大切に食する「命のリレー」を伝えています。食事をするとき、手と手を合わせて「いただきます」と言います。「命をいただく」のはもちろんですが、野菜を育て調理し、初めて食事になります。この過程に携わった方々に感謝することを忘れてはいけないと、しっかりと伝えていきたいと思っています。

近年、離農される方も多くなる中で、農地の荒廃や農業技術の継承問題などにも、若い世代が興味を持ち主体となって取り組めるような新しい「食農教育」を展開し、自ら企画・宣伝・販売など意見交換しながら日々活動しています。

団体名「ラッポルティ」の語源はイタリア語で、「つながり」を意味しています。これからも地域の生産者と消費者をつなげ、安心・安全な野菜の提供を行い、「食農教育」を一歩一歩進めて行きます。

NPO法人ラッポルテイ 理事長
木村 悦子さん

【略歴】1974年高崎市出身。2014年大雪の除雪作業や15年鬼怒川決壊など、災害ボランティア活動に参加。19年地域支援活動を行う為にNPO法人を設立。近年、若い世代の「食農教育」に関する事を中心に活動。私の笑顔が野菜の「肥料」となり、安心・安全な野菜を地域の学校や消費者に提供できるよう奮闘中。

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